社会保険労務士・社労士をお探しなら、労務管理のご相談ならSRアップ21まで

第93回 (平成21年10月号)

「成果主義だといわれても…」
休憩時間は解放してください…

SRアップ21広島(会長:守屋 薫)

相談内容

「今日は海外調査部のHがつかまっているよ…」昼食をとりながら、K社の社員たちが笑っています。自分がつかまったら大変なことですが、“他人の不幸は…”という感じなのでしょう。このK社のN社長は、自分がすべてわかっていないと嫌なタイプですので、聞きたいことや言いたいことがあると、昼夜・休憩・休日にかかわらず、その社員を呼び出し、あるいは電話で何十分も拘束するようなことをやってしまいます。社員の中には、昼食の途中だったり、デートの最中であったり、非常に迷惑な話ですが、「社長は忙しいから…」「悪気はないよね…」「社長と話す機会があった…」などと、N社長をカリスマ的にみているわけではないでしょうが、K社には社風として自分を納得させるような雰囲気がありました。そんなK社にヘッドハンティングされたDが入社しました。D社員は、K社の自動車メーカー担当の営業職としての採用でしたが、前職では労働組合の執行部に属していたこともあり、K社の社風にとまどうことばかりでした。「休憩時間は、最低限の労働者の権利だよ、みんなどうして文句言わないのかな…」と同僚に話しても「社長から呼ばれたら仕方ないよ、休憩は後でとれるしね」という簡単な返事で会話になりません。
ある日のこと、食事中のD社員の携帯電話が鳴りました。ディスプレイには“N社長”の表示が出ています。「あっ、社長だ、まっいいか、食事の途中だし…」と電話に出ないでいると、周りの社員達の方が落ち着きません。「早く折り返した方がいいよ」「あっ、またかかってきた、早くでなよ」という声を無視して、D社員は黙々と食事を続けました。「休憩時間中は、きちんと休憩するのが僕らの義務だよ」とあっけらかんとしたD社員に、みな驚くばかりでした。

相談事業所 K社の概要

創業
平成3年

社員数
61名 契約社員5名 パートタイマー35名

業種
市場調査・販売促進代理業

経営者像

K社のN社長は54歳、バイタリティあふれるN社長は、自ら仕事人間を自負し、休憩や休日を気にせずに社員たちに声をかけるという、いささか困った存在です。社員の中には不満を口にする者もいますが、といって辞める勇気もないような社員が多いK社です。


トラブル発生の背景

休憩時間の解釈は、業種・業態、また経営者の考え方によってまちまちなのが実情です。単に「仕事をしていないから」という視点だけで考えている経営者もかなりいるようです。食事をしながらの電話当番や客待ちなのにタバコを吸っているからと休憩扱いにしていないでしょうか。法律的な休憩の定義をしっかりと認識し、労務管理を行うことが必要な時代です。

経営者の反応

「私が連絡しているのに、なぜ電話に出ないのだ!」会社に戻ったD社員をつかまえて、N社長が怒鳴っています。「この会社が成果主義で、上司の指示は絶対、ということは理解しています。ですから時間外や休日勤務についてとやかく言うつもりはありません。しかし、休憩時間は唯一仕事から解放される時間です。この時間まで振り回されたくありませんし、食事くらいはゆっくりとらせてもらいたいと思います」D社員も負けていません。他の社員たちも固唾を呑んで見守っています。「しかしね、私は忙しいのだ、私には休憩時間などない、私のために休憩が阻害されるというのなら、終わった後で休憩すればよいではないか、君のように柔軟性のない考え方をする者はわが社には必要ない…」ついにN社長は怒り心頭に達し、社長室に戻りました。「いくら給与がよくても、こんなワンマンな会社にはいられないな、まぁ解雇されたことだし今日は帰るか…」D社員は私物をまとめると、K社を後にしました。数日後、D社員の訴えを受けて、不当解雇の撤回、慰謝料の支払”を求めるあっせん開始通知書がN社長宛に届きました。「こんなことは創業以来始めてだ…」あわてたN社長は相談先を探し始めました。

  • 弁護士からのアドバイス
  • 社労士からのアドバイス
  • 税理士からのアドバイス

弁護士からのアドバイス(執筆:中尾 文治)

D社員が、K社に対し、(1)N社長から「君のように柔軟性のない考え方をする者」と言われ人格を傷つけられた、(2)ヘッドハンティングされた結果がこのような仕打ちを受けたということを理由にした慰謝料請求は、認められるのでしょうか。なお、以下、裁判になった場合を前提にお話しします。

慰謝料請求とは
慰謝料請求とは、契約違反行為、または違法な行為によって生じる精神的な苦痛等の無形の損害について賠償請求することです。
この損害賠償請求をする場合、損害額の算定およびその立証は、被害者が行わなければなりません。しかし、精神的苦痛の感じ方は、人それぞれであり、その人がどの程度の苦痛を感じているのかは、客観的に分かりません。そのため、慰謝料請求では、損害額の算定および立証が困難であり、最終的には裁判官の自由裁量に委ねるほかありません。

慰謝料の算定要素
一般的に、慰謝料の算定要素としては、被害者の苦痛の程度、被害者の財産状態、被害者の職業や社会的地位、被害者の年齢、被害者の過失、被害者の利得、加害者の故意・過失、不法行為の動機・原因などが挙げられています。もっとも、慰謝料請求する場合は様々な場面(交通事故、名誉毀損、離婚等)が考えられるところですが、その場面によって、算定要素となったり、ならなかったりします。
たとえば、芸能人の離婚だと数千万円、時には億単位の慰謝料が認められたりしますが、サラリーマンの夫婦の離婚ではそんなことは滅多にありません。これは、浮気をした夫、つまり加害者の収入や資産状況が算定要素として考慮されているからです。これに対し、交通事故や近隣関係のトラブルなどでは、加害者の収入及び資産状況は、通常、慰謝料の算定要素として考慮されません。このように、慰謝料の算定要素は、慰謝料が問題となる状況ごとに、かなりの相違点があります。
また、名誉毀損や侮辱などの人格権侵害を理由とする慰謝料請求の場合、裁判例によると、発言の経緯や目的、発言の内容の程度の他、発言が公開の場であったか否かや、発言をされた者の言動等が考慮されております。そして、裁判例で認められた名誉毀損や侮辱などの慰謝料額は、100万円前後のものが多いようです(東京地裁八王子支部H8.11.7、大津地裁H10.1.19等)。

本件の検討
さて、本件についてみてみましょう。
まず、(1)「君のように柔軟性のない考え方をする者」というN社長の発言について、確かに、このN社長の発言内容は、Dの人格を非難する言葉です。しかし、発言に至った経緯をみれば、この発言は、N社長とDとの会話のやりとりの中での一言であり、上司の指示を聞かないDの態度に憤慨するというN社長の一時的な感情によるもので、ことさらDに悪意をもって発言したとは必ずしも言い難いものです。また、Dの人格を非難する発言はこの1度だけですし、「柔軟性がない」という言葉は親子間や友人間でも使われ得るものであり、これも社会的相当性を欠く言葉だとは必ずしも言い難いものです。さらに、発言場所は、K社内であり、他の社員も発言を聴いていますが、N社長としては、ことさら他の社員に言い聴かせようという意図で発言したとも言い難いです。そして、Dとしても、K社の社員から、N社長の人となりや、N社長の電話を取らないことがどのような結果をもたらすのかを聴いていたのだから、Dの言動によりN社長が「柔軟性がない」と発言することは予測範囲内であったはずであり、N社長の発言により、D社員が慰謝料を支払ってもらわなければならないほどの苦痛を受けたかというと、疑問の余地があります。したがって、裁判所がDの慰謝料請求を認めない場合も大いにあり得るといえ、仮に慰謝料請求が認められたとしても、最大で数十万円程度だと思われます。
一方、(2)K社からヘッドハンティングをされて入社したのに、ひどい仕打ちを受けたことを理由とする慰謝料請求は、なかなか認められないと考えます。なぜなら、ヘッドハンティングに応じるか否か決断したのは、まぎれもなくD自身だからです。Dは、勧誘の際、K社は、「成果主義で、上司の指示は絶対」であり、時間外勤務や休日勤務も当たり前であることを認識した上で、入社しています。勧誘で詐欺的行為があったのならまだしも、Dの自由な判断でK社へ入社した以上、いわばDの見込み違いがあったに過ぎないから、そのことを理由とする慰謝料請求はなかなか認められないと考えます。

違法解雇を理由とする慰謝料請求
なお、本件のような場合で、実務上、良く見受けられるのは、解雇は違法であり、そのような違法な解雇をされたことを理由に慰謝料請求をする場合です。

【解雇の適否】
この場合、慰謝料請求が認められる前提として、解雇が無効である必要があります。この点、懲戒解雇の場合も、普通解雇の場合も、具体的事情の下、会社の懲戒権の行使が、客観的に合理的理由を欠き、社会通念上相当として是認することができない場合は、権利の濫用として、懲戒解雇は無効となります(最判S58.9.16参照)。
本件の場合、Dの言動は労働基準法に従った適法なものだから、懲戒解雇でも普通解雇でも、解雇は客観的合理性を欠くため権利濫用として無効となるでしょう。

【慰謝料請求の適否】
解雇が無効となった場合、必ず慰謝料請求が認められるかというと、実は、そうでもありません。とりわけ未払賃金支払請求が認められた場合、損害が補填されたともいえるからです。判例には、慰謝料請求を認めたもの(大阪地裁H1.6.29)もあれば、認めなかったもの(津地裁四日市支部S60.5.24)もあります。
結局は、具体的事案の内容に応じて判断するほかありません。

本件の場合、DはK社に対し未払賃金の支払いを求めていません。そこで、まず、解雇時点から解雇が無効と判断された時点までの、未払賃金相当額について、慰謝料請求が認められる可能性が高いでしょう。その上で、労働者に休憩時間を取らせないという違法な行為に従わないことを理由に、違法な解雇をしているので、裁判官によっては、K社の悪質性は高いとして、未払賃金からさらに金額を上乗せした慰謝料請求を認める場合も十分考えられます。
K社が対応すべきであったことは、K社の法令遵守体制を確立させることです。
本件は、N社長の資質の問題だけではなく、法令に従わないN社長を放任してきたK社の社員全員の問題ともいえます。したがって、K社の社員全員に、法令遵守の意識をもって貰うことが大切です。また、K社の権限は全てN社長に集中し過ぎています。確かに、ワンマン社長がいる会社は意思決定が早いというメリットがありますが、その意思決定に問題はないのか、確認する社内体制を構築することも必要です。
仮にN社長が正しかったとしても、Dとの対応は、N社長以外の人間がすべきだったでしょう。感情的になっている時は、どうしても感情的な言動をしてしまいます。とりわけ、会社の場合、裁判の勝敗に関係なく、裁判を起こされ、それがマスコミなどに報道されること自体が、イメージダウンに繋がることも多々あります。このようなこともありますので、Dとの対応は、冷静な話し合いができる第三者にしてもらうべきだったでしょう。

社会保険労務士からのアドバイス(執筆:守屋 吉人)

まず「休憩」の定義ですが、労働基準法第34条により、「使用者は労働時間が6時間を超える場合においては、少なくとも45分、8時間を超える場合においては1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない」「使用者は休憩時間を自由に利用させなければならない」と規定されています。
また、休憩時間は一斉に与えなければなりません。ただし、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においては、その労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときはこの限りではありません。この一斉付与の例外の趣旨は、休憩時間の自由利用を担保するための手段として一斉付与を法律上一律に義務付ける必要性が低下していること、労務管理の個別化が進展し、かつ、自律的に働くことを希望する労働者がいる中で、改正前の規定がこうした労働者の自主的な労働時間の配分に制約を課すこととなっていることにかんがみ、適用除外許可を廃止すると同時に労使の自主的な話し合いの上、職場の実情に応じた労使協定を締結することにより適用除外とすることとしたものです。さらに、「休憩時間とは単に作業に従事しない手待時間は含まず、労働者が権利として労働から離れることを保障されている時間をいう」(昭22.9.13 基発第17号)という通達もあります。
K社のN社長は、自分が全て分かっていないと嫌なタイプで、聞きたい事や言いたいことがあると昼夜、休憩時間、休日にかかわらず社員を呼び出し、あるいは電話で何十分も拘束するタイプであり、またこれを「社長は忙しいから」、「悪気はないから」と仕方のない事だと思う社風もN社長を増長させる原因だったのでしょう。
時間等にかかわらず社員を呼び出すというN社長の考え方には大いに問題があります。
休憩時間が業務の都合や会社(経営者)の都合等で本来の時間帯に取得できない場合には、その時間を変更することが可能です。しかし、既に休憩時間に入っているような場合に、それを無視して(場合によっては、食事を中断させて)呼び出すようなことは労働基準法違反(労働基準法第119条「罰則」労働基準法第34条に違反した場合には、6ヶ月以下の懲役または三十万円以下の罰金)につながりかねませんし、「その後に休憩をすれば良い。」と言われても実際には、午後からの業務の都合等もあり、必ずしも取得できるとは限りません。そうなれば、昼の休憩時間に拘束した時間については、労働時間扱いとなり賃金の支払が必要となります。
また、その時間を労働時間とすると、仮に8時間労働とした場合、所定時間労働しても時間外労働時間が発生することとなり、割増賃金の支払いが必要となるケースが考えられます。もし、N社長が休憩時間を利用して対象社員から話を聞きたいということであれば、事前にその旨を社員に通知したうえで、その後の休憩時間を確保できるような配慮が必要となります。
次に、社員が自己判断して休憩を取得することの是非について考えてみましょう。
休憩時間に社長から連絡が入った場合、D社員の「今は休憩時間だから休憩時間が終わってから連絡すれば良い。」という考え方にも問題があります。
すぐに、電話に出なかった、または、すぐ折り返しの電話を入れなかった行為、それ自体が労働基準法等の法律に抵触するわけではありませんが、服務規律の面からすれば適正であるとは言えません。N社長としてみれば、「なぜすぐに電話に出ない。」という強い怒り、不信感を抱くことにつながり、今後の業務にも支障が出るかもしれません。
休憩時間だからという短絡的、自己中心的な判断は避けるべきであり、電話に出た際、もし食事中であればその旨を伝え、食事が終わり次第で伺う旨の報告をするべきであると考えます。そのうえで、十分な休憩時間が確保できなかった場合には、そのことを申し出て、残りの休憩時間を確保してもらうことが望ましいのではないでしょうか。

K社における今後の労務管理について
最初に、N社長が自身の考え方を改めることでしょう。N社長に限らず、経営者として成功された人の場合、それまでの人一倍の大変な努力、苦労等があって現在の自分、会社が存在しています。そのため、一部の経営者には次のような思い込みをしている人があります。
(1)何でも自分の思いを通そうとする。
(2)人の助言にはあまり耳をかたむけようとしない。
(3)自分のしていることは、「マチガイない。」すべて仕事上のことだと思っている。
このような考え方を今後少し反省し、改めることが必要ではないでしょうか。社員が頑張ってくれるからこそ会社は繁栄し、継続されるのですから。
また、今後の報告・確認のあり方についても検討し、たとえば、メール等で報告を求めて内容を把握し、打ち合わせ、確認を行うという方法もあります。この方法でいけば事前にその通知が行なえますし、社員もゆとりをもって報告することが可能となります。
会社は、時間外労働時間や休日出勤が発生しないような、また、休憩時間が確実に確保できるような業務計画を立て、いわゆるサービス残業や持ち帰り残業、さらには、休日などに一方的に呼び出すことがないよう「社員が納得できる適正な」職場風土づくりを目指すことが必要でしょう。このことが社員のやる気を引き起こさせ、心身の健全化に寄与することにもつながるものと思います。
せっかく苦労していい人材を育てても、また、いい人材を引き抜いてきても、このような職場の風土ができあがっていなければ、人は去って行き会社の発展は望めません。
人が企業を活かし、人が企業を発展させるのです。労使がともに生き生きと希望をもって働ける環境の整備、経営理念の確立こそが本来のあるべき会社の姿であり、あるべき労務管理の姿ではないでしょうか。

税理士からのアドバイス(執筆:大立 稔)

近年、他社の優秀な人材が自社に転職してくることを条件に、契約金および支度金等の名目で金銭を支払うことがよく見受けられます。ここでは、本件で争点となったヘッドハンティングに係る経費と損害賠償金についての税務上の取り扱いをまとめます。

人材に対して支払われる『支度金』等
<K社側>
債務の確定した事業年度において全額損金として処理できます。
消費税は課税されます。
報酬・料金(契約金)として所得税の源泉徴収が必要です。(所基通204-30)
契約金等の取り扱いについて、プロスポーツ選手などと専属契約を結ぶために支払われた契約金等は、その支出の効果が長期間に及ぶため繰延資産として取り扱われます。 これに対して、セールスマン、ホステス等に支払われる支度金、引き抜き料等は、専属契約を結ぶために支出されることではプロスポーツ選手に支払われる契約金と類似していますが、専属契約についての拘束力が十分でない実態にあるとして、強いて繰延資産として取り扱う必要はないとされています。(法基通8-1-12)

<D社員>
「支度金」、「準備金」、「契約金」等名目いかんにかかわらず実質で判定します。
「支度金」等は、雇用契約そのものによって支給されるものではないので給与所得には該当せず、労務の対価としての性質があるため一時金であっても一時所得に該当しません。結論としては「雑所得」として確定申告が必要です。(所基通35-1(11))
このように、一定の者のために役務を提供し、またはそれ以外の者のために役務を提供しないことを約束することにより一時に支払いを受ける契約金、支度金等のすべてのものは、その支払いの際にその支払金額の10パーセント(同一人に対して一回に支払われる金額が100万円を超える場合は、その超える部分については20パーセント)の税率により源泉徴収する必要があります。(所法204-1-7、205-1)。
なお、雇用契約を結んだ後に支払われる支度金は給与所得に該当し、年末調整により所得税が精算されます。
また、ヘッドハンティングされた人材の就職に伴う転居の為の旅費や引越し等に通常要する費用については、その実費弁償的性格に着目して所得税が非課税とされていますので、支度金と明確に区分する等の工夫が必要です。(所法9-1-4、所基通204-30)

人材に対して支払う「損害賠償金」
<K社側>
業務関連性があり、損害原因に故意または重過失がない場合には、支出した事業年度において全額損金として処理できます。
しかし、N社長が社員Dの解雇に対して個人的感情が入りすぎたと判断されると、業務遂行逸脱で会社に損害を与えたことになり、社員Dに支払った金額はN社長に対する債権となり、会社の費用とすることができなくなる恐れがあります。
心身または資産に対して加えられた損害の発生に伴って受ける損害賠償金については、通常は資産の譲渡等の対価に当たりませんので消費税は課税されません。(消基通5-2-5)。

<D社員>
心身に損害を加えられたために受取る慰謝料その他の損害賠償金は所得税が非課税とされています。(所法9-1-6)
また、本件社員Dの労働契約の詳しい内容がわかりませんが、彼が年棒制の契約をしていた場合で、残額の年棒(所得)の支払いを会社に請求した場合、社員Dがすべて受け取った場合の税務上の取り扱いをまとめます。
契約期間の残額すべて受け取るとなると、退職に起因して一時に支給されたものでないため退職所得には該当しません。また、心身の損害を認められ損害賠償金となれば非課税所得に該当してきます。

いずれにしても、本件はN社長が経営者として冷静に経営判断を行うべき事件であったと考えます。

社会保険労務士の実務家集団・一般社団法人SRアップ21(理事長 岩城 猪一郎)が行う事業のひとつにSRネットサポートシステムがあります。SRネットは、それぞれの専門家の独立性を尊重しながら、社会保険労務士、弁護士、税理士が協力体制のもと、培った業務ノウハウと経験を駆使して依頼者を強力にサポートする総合コンサルタントグループです。
SRネットは、全国展開に向けて活動中です。


SRアップ21広島 会長 守屋 薫  /  本文執筆者 弁護士 中尾 文治、社会保険労務士 守屋 吉人、税理士 大立 稔



PAGETOP