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第6回  (平成14年8月号)

関連会社へ出向を繰り返した社員からクレームが発生

SRアップ21高知(会長:岩山 隆)

相談内容

T社のH社長は事業意欲が旺盛で、数年前から多角経営に精を出しています。
グループ法人の社長はH社長の腹心の部下や親族が務めています。
主な業種は、中華料理店、居酒屋、カラオケボックスなどで繁華街に店舗を有しています。

数年前から、節税対策と言うのかグループ法人を一つの会社とみなしたような人事異動が始まりましたが、それぞれの会社で働く社員は、名目上の社長はいるもののH社長を本当の経営者だと思っています。 そんなことから、給与明細書の会社名が変ったり、健康保険被保険者証が別会社に変っても、気にする者はいませんでした。
社員は、どこの会社で働いていても、グループ会社全体が自分の会社だと思っています。
社長は社長で、グループ全体で経営を捉えており各法人の独自性や主体性など考えていませんので、社長に逆らいさえしなければ、自分の身は安泰と社員は考えています。

ところが、あるグループ会社で、アルバイトを社員に登用した結果、これがきっかけでトラブルが発生することとなってしまいました。
このアルバイトは、忠誠心や責任感が強いことを買われて社員に登用されたのですが、グループ会社の内情を知るにつれて、恒常的に行われる転籍出向や税務上の取り扱い、さらには労働法規上に問題があるのではないかと思い始めました。
そしてある日、労使トラブルの危険があることをH社長に進言しました。 当然H社長が一社員の言うことなど聞くはずもなく、その場でその社員を解雇しました。
その社員は、「税務署や労働基準監督署に訴えてやる。」と捨て台詞を残し、会社を去りました。

相談事業所 T社の概要

創業
昭和49年

社員数
グループ全体65名、グループ全体のパート・アルバイト241名 

業種
飲食店、カラオケボックスの経営

経営者像

65歳、メイン事業として別に不動産業を経営


トラブル発生の背景

社員を「駒」のように取り扱うH社長には、基本的な法律知識がありませんでした。 また、これまで何の問題もなかったことから、ますますワンマン化が増長したような感じです。
「何も問題がなかった」ことで、顧問税理士、社会保険労務士などのブレーンもなく、多少知識のある社員がグループ各企業の税務・総務業務を処理していました。
当然、就業規則を始めとした会社のルールなどなく、その場での独断と偏見による裁定がH社長の労務管理でした。

今回は”出向”という事例を、SRネット(social resources net work)高知が専門的な解説を含め、問題解決の手順をご紹介いたします。

経営者の反応

社員を解雇したものの、なんとなく後味が悪かったH社長は、幹部社員を召集し、意見を聞いてみました。
最初は口が重かった幹部社員たちからも、
「自分たちの事はともかく、一般社員に対しては、合法的な処遇を定めた方が良い。」
「これからの危機管理のためにも対策をたてよう。」
という意見が出るようになりました。

「パート・アルバイトを合わせると300名を超すグループですよ。」
H社長も危機感を感じた様子で、「まずは専門家に頼ってみるか。」と結論づけました。

  • 弁護士からのアドバイス
  • 社労士からのアドバイス
  • 税理士からのアドバイス
  • ファイナンシャルプランナーからのアドバイス

弁護士からのアドバイス(執筆:横川 英一)

転籍出向というのは、社員とそれまで雇用関係にあった企業との間の労働関係が解消され(つまり退職し)、新たに他の企業に雇用されることであり、いわば退職と就職が同時に行われるといったものです。
在籍出向とは、労働者が自己の雇用されている企業(これを出向元企業といいます)に在籍したまま、他の企業(これを出向先企業といいます)で一定期間就労する労働形態です。

T社の場合、転籍出向と在籍出向の双方がなされているようですが、転籍出向と在籍出向は法律上、別個の概念ですから注意してください。
在籍出向にせよ、転籍出向にせよ、労働者は自ら希望して採用された企業と異なる企業の労働者となり、その指揮命令下に労務を提供するものであって、労働者にとって極めて重要な労働条件の変更を伴うものですから、合理的な法的根拠が必要であり、使用者の命令のみで自由になしうることではありません。

まず、在籍出向の場合について、これまでの裁判例から考え方を整理しておきましょう。

 (1)労働者から個別に同意を得る場合
 (2)就業規則、労働協約の中に出向労働義務条項を定めている場合、
 (1)または(2)の場合、在籍出向を命じることができるとされています。

学説の中には、出向の都度個別に労働者の同意を必要とする考え方もありますが、多くの学説や判例では、事前の同意(例えば採用時に明確な合意がある時)、または、就業規則や労働協約に出向労働義務条項が明記されていればよいと考えられています。

それでは、就業規則や労働協約の中にどのような定めがあれば出向命令権限が生ずるのでしょうか。
この点については「会社は業務の都合上、他社等への出向を命じることがある」旨の定めがあり、かつ「出向中の労働条件の保障」がなされていれば、業務命令としての出向を命じうるものと考えられています。
「出向中の労働条件の保障」の具体的内容としては、重要な待遇、労働条件が予め明確に示されていることが必要とされており、労働時間や休暇、休日に長短を生じるようになる場合、出向手当を設けたり、また賃金においても出向により労働者に不利益とならないような措置が定められていればよいとされています。
例えば、出向先企業の給与が低い場合は、その差額を出向元企業が支払い、出向元企業が実働7時間制であるのに対し、出向先企業が8時間制をとる場合は、7時間を超える部分について時間外割増賃金を支払う等の措置が講じられるべきであるとされています。
だたし、就業規則等にこのような定めがあった場合でも、出向命令権の行使が乱用されてはならないことはいうまでもありません。合理的理由がないのに出向を命じたときや、労働者に対し、著しい不利益を与えるような場合は、出向命令が無効となることがあります。

次に転籍出向ですが、これまで説明したとおり、労働者の退職という重大な効力を発生させるものであり、労働者の一身的な権利の問題ですので、労働協約や就業規則で定めをしたとしても、当該労働者の個別の同意がない限り、転籍出向を命じることはできないと考えられています(昭和28年3月23日 東京高裁 松崎建設事件)。
T社ではグループ企業間での出向が問題となっています。
企業グループで労働者を一括採用し、採用後グループ各社に配属し、以後グループ構成各社に反覆的に出向させる形態がとられることがあります。このような場合でも原則としては、前述した転籍・在籍出向の考え方で処理されるべきです。
ただし、興和事件判決(昭和55年3月26日 名古屋地裁)では、3社がグループとなり、本社は同一建物内で、社長は同一、多数役員が兼務し、経営会議を合同で開催し、就業規則等も共通であり、求人用パンフレットに出向方式を明記して、採用前にその旨の説明をしていたケースについて、真実に基く同意があったとして、出向命令権の行使ができると判断されています。
単にグループ企業であるというだけでは不十分で、このような特別緊密な企業関係に限定されていることに注意すべきです。

以上のことから、T社のH社長の行う出向には問題が多く、早急に是正すべきものと考えられ、また社員に対する解雇も無効である可能性が高いと考えられます。
このことをH社長および幹部社員たちに説明し、今後の是正については、税理士、社会保険労務士、FPの指導を受けるように申し付けておきました。

社会保険労務士からのアドバイス(執筆:竹内 隆志)

出向に関するルールづくり

グループ会社内で恒常的に行われていた「転籍出向」「在籍出向」がH社長の一存で決められてきたことに、社員の不満が出てきたことは当然の結果ともいえます。
「転籍出向」の場合は、特に、社員の同意が不可欠であり、転籍元の会社との雇用関係の解消という重大な効果が生じるため、社員の同意がない出向命令は無効となり、「在籍出向」よりもさらに取り扱いは慎重を要します。
幹部社員からの意見も就業規則などのルールづくりへの要望が強いことから、これまであやふやであった出向制度についてもよく理解し、適正な労務管理を行い無用のトラブルを防ぐ上でも就業規則等を早急に整備され、出向を行う際の基準を明らかにしておくことを強く求めました。

 

人事異動の種類

人事異動は、まず同一企業内での異動か否かによって「配転」(同一企業内の異動)と出向(企業間の異動)とに分けることができます。
「配転」のうち、同一の勤務地で職種内容を変更するものを「配置転換」、勤務地の変更を伴うものを「転勤」と呼んでいます。 出向に関する法律上の問題は、既に弁護士から行なわれいてますので省略いたします。
労働法の観点から付け加えますと、「転籍出向」の場合はもとの雇用先の企業との雇用関係は終了し、新しい転籍先の企業との雇用関係が成立することから、給料支払いや解雇処分や団体交渉先の相手方すべて転籍先の企業になります。
労働条件、休暇などの労働条件も、すべて転籍先の企業の条件に従うこととなります。

「在籍出向」の場合は、労働条件は出向先の企業に従うのが通常で、給料などは出向元の企業が全額負担、出向先で全額負担、出向元と出向先で分割して負担するいずれでもよく、出向先の指揮命令に従うが、退職・解雇といった身分関係の変動を伴う労働条件の決定は、出向元の企業が行うことになります。
社員に出向命令を出す場合には根拠規定があることはもとより、命令自体にも合理性が必要です。T社関連企業の就業規則はこれから作成することになりますが、就業規則に出向規定を設ける際のチェックポイントとしては
 1) 出向先の範囲
 2) 出向の手続き
 3) 出向事由
 4) 出向に伴う身分、労働条件の取り扱い
 5) 復職の場合の身分、労働条件の取り扱い
などの事柄を盛り込まなければなりません。

また、運用の段階では、出向辞令の作成した方がよいでしょう。 この出向辞令には、
 1) 出向させる業務上の必要性
 2) 出向者の人選の合理性
 3) 出向手続の妥当性
 4) 出向者の受ける不利益
などを明記するように指導する予定です。

就業規則および諸規定の作成については、T社を含むグループ企業の労働条件の現状把握、均等待遇のための調整手段などを打ち合わせる必要がありますので、グループ各社からプロジェクトチームのための代表者を選任してもらうようにしました。

最後に、労務管理について社長に進言をし、その場で解雇された社員に対する労働法上の問題に触れておきました。
解雇は原則として使用者の自由でありますが、それが相当な理由のない権利の濫用にあたる場合には無効となります。
このケースは、民法第1条2項(信義則)、3項(権利濫用)等での一般的規定の運用として合理的な理由を欠く社会通念上相当と認められない解雇にあたり、不当解雇といわざるを得ません。
また解雇手続きの面からその有効性をみると、労働基準法第20条に定めるとおり、30日前の解雇予告か、予告をしない場合は解雇予告手当の支払いをしなければならず、今回は即時解雇であるためこれに当たり、30日分以上の平均賃金を支払う必要があります。
また、アルバイトから正社員に登用された、忠誠心や責任感が強く優秀な社員であったと思われる者を、労務管理の拙さから失ったことは、会社にとって何よりも代え難い損失であったともいえます。
H社長も十分に反省しているようです。

重要なことは、規則だけ立派なものができても、社員にルールを守らせる・自らルールを守ってみせる幹部社員が規則を理解していないと何にもならないどころか、労使トラブル発生の温床と化してしまう可能性が高くなってしまうことです。

H社長も同感の様子で、幹部社員の教育についても受託することにしました。
そのうえ、これまでその処遇に関して無関心だったパートアルバイトについても、何らかの手段を講じることになりましたので、この件についてはFPと共同で進めることにしました。

税理士からのアドバイス(執筆:藤原 高博)

中小企業の持味は、経営・意思決定のスピードにあると思っています。
この利点を最大限に活かしたT社グループでは、H社長の「鶴の一声」で人事を含む全ての経営方針が決定されてきたようです。 悪い言い方をすると、所謂「ワンマン経営」という、負のイメージを強調してしまいますが、T社グループが今日の規模に発展できたのは、トップダウン式の意思決定・それゆえのスピード、H社長の人柄、結果としての意思決定の正しさ等々、正当に評価すべき点も多かろうと思われます。
しかしながら、「経営は人なり」と言われる様に、他の役員、社員を”人財”として処遇することも、今後の更なる発展のためには必要なことです。

今回の事件をきっかけに、その事に気づかれたH社長率いるT社グループの明日に期待をこめて、コンサルティングを行ないました。

さて、適材適所の視点からT社グループ内での人事の交流、異動を図ることは激変する経営環境に柔軟に適応するために重要な経営対策と言えます。 しかし、戦略的労務管理の実施、それに伴う法律問題の予防的措置を講じておかなくてはなりません。
まず、人事交流・異動の手法として、出向と転籍に分けた法人税法上の取り扱いについて説明しました。

 

1.出向
この出向とは在籍出向を意味しますが、出向社員は出向元企業および出向先企業との間に二重の雇用関係が成立し、法人税法上様々な問題が生じてきます。

(1) 出向先企業で給与を支給する場合
本来給与は労務の対価であり、出向先で業務に従事する出向社員の給与は全額出向先企業が負担すべき性格のものです。しかし、出向元企業と出向社員の雇用関係が維持されているので、出向元企業は出向後も出向社員の給与を保証する義務があります。

ポイントその1
このような事情から出向先企業の給与ベースが低いため給与の格差補填として出向元企業が出向社員に支給する給与(出向先企業を経て支給する場合を含む。)は出向先企業の損金となります。
出向先企業が営業不振等のため賞与を支給できないため出向元企業が負担する賞与も同様です。(法基通9?2?35)

ポイントその2
ポイントその1の給与格差補填金及び賞与は出向元企業の給与として扱われるため、退職給与引当金及び賞与引当金の対象となります。(法基通21-3-16)

(2)出向元企業で給与を支給する場合
ポイントその3
出向社員の給与を出向元企業が支給する場合、出向先企業がその負担すべき給与相当額を出向元企業に支払った場合は、その給与相当額は出向先企業の出向社員に対する給与となります。(給与或いは経営指導料等の名義如何を問いません。)(法基通9?2?33)

ポイントその4
出向社員が出向先企業で役員となっている場合には、給与負担金の内賞与相当額は損金不算入となるので注意が必要です。
この場合、出向元企業の支給の都度その支給額の範囲内で支払うときは、出向元企業の賞与としての支給額が賞与となります。
また、一定期間分を一括して支払うときは、その期間に出向元企業が定期の給与として支給した部分を超える金額が、賞与となります。(法基通9-2-34)

ポイントその5
出向先企業が、出向元企業が出向社員に支払う退職給与に充てるため、予め合理的な基準により定めた負担額を定期的に出向先企業に支払う場合には、その支出年度の損金になります。(法基通9?2?36)
また、出向社員が出向元企業を退職した場合に、出向元企業が出向社員に支給する退職給与の内、出向期間に対応する金額を出向先企業が負担する場合は、たとえ出向先企業に在職中であっても、支出年度の出向先企業の損金となります。(法基通9-2-37)

ポイントその6
出向元企業が適格退職年金契約を締結し、出向先企業が予め合理的な基準により定めた出向社員に係る掛け金の負担額を出向元企業に支出する場合には、支出年度の出向先企業の損金となります。(法基通9-2-39)

 

転籍
転籍は転籍前の企業を退職し、転籍後の企業と新たな労働契約を締結することになるので、出向の場合のような問題は通常生じませんが、本事例はグループ会社間での転籍であり、退職給与の負担が問題となることが考えられます。 退職に伴う退職給与の負担の方法として、次の三つの方法が考えられます。
(1) 転籍時に転籍社員に退職給与を支給する。
(2) 転籍時に転籍後企業に退職給与相当額を引き継ぐ。
(3) 転籍後企業を退職するとき、転籍前企業と転籍後企業が各々の在職期間に応じて退職給与を負担する。
(1)の場合、転籍前企業は支給した退職給与を損金経理するとともに、退職給与引当金の内、転籍社員の前期末要支給額の取り崩しをします。転籍後企業は新規雇用として新たに計算することとなります。

(2)の場合で転籍後企業が転籍前企業の在職期間を通算しないときは、転籍前企業転籍後企業に支払った金額を退職給与として損金経理し、退職給与引当金の内、転籍社員の前期末要支給額を取り崩します。
転籍後企業は受入金額を雑収入等として益金経理します。 在職期間を通算するときの基本的な処理方法は、通算しないときと同じですが、退職給与引当金の繰入限度額の計算に注意が必要です。(少々複雑になるので注意喚起に止めます。)

(3) の場合、転籍前企業及び転籍後企業が転籍社員に支給した退職給与は、それぞれの負担額が在職期間に応じて按分する等合理的に区分計算されていれば、それぞれの企業の損金となります。この場合、相手方企業が負担すべき退職給与を負担したときは、その部分は相手方企業への寄付金となります。(法基通9?2?40)

 

以上のような出向、転籍に関する基本的な賃金処理について、H社長とTグループの経理担当者が理解するまで根気よく説明しました。
これまでは、各企業で利益が発生しそうな場合に「利益が上がっている企業から賃金を支給する」ことを出向の理由としていたようです。まさに単純な資金移動のために、社員を利用していたとしか言いようがありません。

今後はこのような税務上の基本知識を十分に加味した上で、出向させる社員に不利益が生じないように、また、企業としても税務調査に耐えられるようにしておかなければなりません。

ファイナンシャルプランナーからのアドバイス(執筆:日浦 久芳)

今回のT社の問題に関しては、グループにおけるパート・アルバイトが約8割近くを占めていますので、パート等を念頭に主に法律上の規定や福利厚生・賃金(人事)制度等の充実に関する提案を社会保険労務士とともに実施しました。
まずパート等であっても法律上必要な規定があります。

(1) 社会保険(健康保険・厚生年金・雇用保険)の資格要件を満たしている人は加入させること
(2) パート等であっても年次有給休暇の権利がある人には労働者から請求があれば年次有給休暇を与えること
(3) パートタイマーの採用では労働条件通知書を書面で交付すること
(4) パートタイム労働法を熟知すること(パートタイマーの雇用改善を目的として、適正な労働条件の確保や教育訓練の実施、福利厚生の充実及び一定の人数のパートを雇用する場合は短時間雇用管理者を選任すること等が定められています)

 

 

パート・アルバイトの賃金・人事施策としてはパート労働者の多様な希望・能力を考慮した上で、実力に応じた賃金体制の確立を図ることが挙げられます。 具体的には、
(1) 職能給による賃金制度の導入等を推進し、賃金を数ランク(1級?5級等)に区分し能力により賃金を決定する。
(2) パート等も本人の能力・やる気により責任者・管理者に登用する。最近の事例では、大手スーパーが正社員とパートの人事制度の一本化を推進して、パートでも実力しだいで店長・課長など管理者に昇進できる制度を導入し、パート労働者の活用を図っています。
(3) 正社員を希望する者は会社内の統一基準を作成し、その基準を満たす者を正社員に登用する。
(4) パートにも退職金制度(中退共や401K年金等)を導入し、中長期的に勤務して会社に貢献して貰う

などが考えられます。

 
今後は、主婦・高齢者の活用を図ることも重要です。
主婦の場合は、育児休業制度の活用や子育て終了後の再雇用制度を検討されてはいかがでしょうか。
また、高齢者においては、在職老齢年金と雇用継続給付や各種の助成金の活用で本人および会社のメリットも図れます。 提案制度・小集団活動・社内発表会等にパート等も参画させることもモチベーション向上対策として効果的です。
経営者がそのときに出た提案や要望を経営に反映させることで、パート等の意見も大切にされていることが周知去され、社内の一体感および個人の能力発揮のチャンスが生じると思われます。 さらに次のような福利厚生対策も提案しました。

 

(1) 公的資格や・社内資格制度(資格手当支給)の活用等により、パート等の仕事に対する意識・能力の向上等を目指す
(2) 中小企業勤労者福祉サービスセンターを活用する。中小企業勤労者福祉サービスセンターでは、レクレーション活動(ボーリング大会や宿泊施設の割引利用等)の援助、人間ドッグ利用のあっせんや補助、本人や家族の慶弔給付金支給、住宅融資や生活資金融資のあっせん等が利用できます。
(3) その他の福利厚生対策として、パート・アルバイトでも正社員と区別なく、社内旅行(日帰り)や懇親会に参加できること、慶弔見舞金制度の導入、定期健康診断等の推進(深夜健康診断は助成金の対象になります。)を行なうことで従業員にとって明るく、働きやすい会社になると思われます。

一度にすべては無理ですが、上記の様な施策をわれわれSRネットと相談して、検討導入することで、社員からのクレームやトラブルの発生を未然に防ぐことが可能となり、今後T社は更に大きく発展することが期待できると思われます。

社会保険労務士の実務家集団・一般社団法人SRアップ21(理事長 岩城 猪一郎)が行う事業のひとつにSRネットサポートシステムがあります。SRネットは、それぞれの専門家の独立性を尊重しながら、社会保険労務士、弁護士、税理士が協力体制のもと、培った業務ノウハウと経験を駆使して依頼者を強力にサポートする総合コンサルタントグループです。
SRネットは、全国展開に向けて活動中です。


SRアップ21高知 会長 岩山 隆  /  本文執筆者 弁護士 横川 英一、社会保険労務士 竹内 隆志、税理士 藤原 高博、FP 日浦 久芳



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