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第33回 (平成16年11月号)

社長の車を借りた社員が帰宅途中に事故に…
社長の責任は?

SRアップ21高知(会長:岩山 隆)

相談内容

「みんなご苦労さん、おかけで今月もまずまずの売り上げだ。今日はたくさん食べて帰ってくれ」毎月開催されるM社長宅(本店の敷地内に併設)での食事会が始まりました。 社員のIさんは、52歳、もう一人のHさんは49歳で、いずれもR社創業からM社長とともに働いています。夜も11時を過ぎた頃I社員が帰宅しました。一方のH社員はビールを飲みすぎたのか、熟睡中です。「起こすのもかわいそうだから、今日は泊めてやるか…」と夫妻が話していると、H社員が飛び起きました。「明日は、子供と遊園地に行く約束をしていたんですよ…しまった、電車がなくなってしまいました」H社員は途方にくれています。
M社長は「しばらく寝ていたし、酒も抜けただろう、俺の車を貸してやるから、気をつけて帰りな」と助け舟をだしました。「社長、ありがとうございます」H社員は喜んでM社長の車を運転して行きました。
M社長の車は営業車ではありませんが、会社の経費で購入したセダンです。ガソリン代も半分くらいは経費で落としていました。
深夜2時を回った頃、M社長宅の電話がけたたましく鳴りました。奥様が目をこすりながら電話に出ると、なんと警察からでした。
「Hさんが交通事故を起こして、○○病院に搬送されています…」 H社員は居眠り運転で、電柱に激突し、頭部挫傷、右足骨折の大ケガを負い、車は全損ということでした。

相談事業所 R社の概要

創業
昭和61年

社員数
2名(パートタイマー5名)

業種
設計事務所

経営者像

手打ちうどん店を経営するM社長は57歳、小規模ながらも2店舗を擁し、M社長の奥様と社員2名で営業を切り盛りしています。自分も苦労人だけあって、毎日長時間頑張っている社員には手厚い処遇を施し、月1回は自宅で食事会を開催するほどの人物です。


トラブル発生の背景

多少の睡眠時間があったとはいえ、社員に酒を飲ませて車を運転させるのは重大な誤りといえます。また、飲食店という職種から、毎日の拘束時間は13時間もあり、休憩は2時間とれるかどうか、というハードな勤務シフトであったこと、過労という問題も考える必要があるでしょう。
果たして、事故発生後のH社員の家族に対する初期対応は、問題なかったでしょうか。 問題発生時に、経営者が自らの保身のみを考えているような言動をとると、これまでの信頼関係が一気になくなるものです。

経営者の反応

M社長が病院に駆けつけると、H社員の奥さんがいました。M社長は、挨拶も早々に「実に困ったことをしてくれたな、幸いに命に別状はないが、車は全損だよ、電柱も弁償しなきゃならない…Hさんにもいくらか支払ってもらわなきゃならんな…」と言ったものですから、H社員の奥様が逆上しました。「毎日こき使って、無理やり食事会にも呼び、お酒を飲んでいるのに車を貸すなんて、ひどいですよ」後は、なじりあいの応酬です。たまりかねたM社長の奥様が仲裁に入り、やっと騒ぎが収まりました。最後にH社員の奥さんは、「とにかく全部社長が悪いのだから、面倒見てくださいね」といって病室に入りました。
幸いに?酒気帯び運転は、ばれなかったようですが、М社長は不満げです。
「俺に責任はないだろう…」というМ社長でしたが、奥様の助言もあり然るべき相談先を探すことにしました。

  • 弁護士からのアドバイス
  • 社労士からのアドバイス
  • 税理士からのアドバイス

弁護士からのアドバイス(執筆:横川 英一)

本件を要約すると、M社長が所有していた車は、R社の経費で買ったものであるが、実質的にR社の営業には使用しておらず、この車両をM社長から一時的に借りたH社員が交通事故を発生させたというものですね。
まず、損害賠償義務者について考えます。 民法の大原則の1つは、個人責任の原則です。そのことから言えば、車の運転中に事故を起こした場合、賠償義務者は運転者だけのはずです。ところが、企業に属する従業員の多くは、経済力に乏しいのが現実です。従って、被害者保護の観点から企業に責任を負わせる必要性があり、責任の根拠は、企業は従業員を雇用することにより利益をあげているのだから、従業員のなした行為については企業も責任を負うべきであるという考え方です。
これが使用者責任といわれるもので、民法715条では、「ある事業のために他人を使用する者(使用者)は、被用者(従業員)がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任がある」とされています。

また、民法715条の外、自動車損害賠償保障法(自賠法といわれています)においては、運行供用者責任が定められています。運行供用者とは、当該自動車の運行を支配し、運行による利益を有している者という意味で、運行支配とは、自動車の使用を支配、管理できることをさし、運行利益とは運行により事実上、利益を受けることをさします。
企業が従業員に仕事で車の運転をさせていたときは、企業は運行供用者であり、かつ民法715条の使用者でもあります。たとえば、親が子に車を買い与え、ガソリン代等の負担をしているときには、親が運行供用者となることがあります。
交通事故による損害には人身損害(人の死傷による損害)と物的損害に大別できますが、民法に基づく使用者責任は人身損害、物的損害双方を賠償すべき責任ですが、自賠法による運行供用者責任は人身損害のみ賠償すべき責任です(自賠法では「他人の生命又は身体を害したときは、これによって生じた損害を賠償する責に任じる」とされており、物的損害の賠償責任は除かれています)。
以上を基礎知識として、本件を考えてみましょう。  

1) 第一の問題
まず電柱を損壊させたことによる物的損害賠償責任をM社長が負担するか否かです。物的損害の賠償ですから、M社長は自賠法上の運行供用者責任は負担しません。もしも、事故により第三者を受傷させたりしていれば、M社長は自分の車を一時的に貸したのですから、M社長は運行供用者責任を負うことになります。  
さて、次に民法715条の使用者責任を負担すべきでしょうか。
前記のとおり、使用者責任を肯定するためには「事業の執行につき」第三者に損害を与えたと認められることが必要です。この“事業の執行につき”と言えるためには「客観的に行為の外形を標準として」被用者の行為が使用者の事業活動の範囲内に属すると認められることが必要です。 本件では、M社長の車は会社の営業のために用いられてはいなかったこと、H社員の車の運転は外形的にみても、事業の執行についてなされたとはいえないことからM社長は使用者責任を負わないものと考えられます。

2) 第二の問題
M社長は車の損壊による賠償請求をH社員に行うことができるでしょうか。
H社員の過失により車が全損したのですから、H社員はM社長にその損害を賠償すべき責任があることは当然です。ただし、M社長はH社員が飲酒したことを知って車を貸したという過失があるので、公平の観点から全額の賠償請求はできないと考えられます。   

3) H社員の受傷による損害をM社長は賠償しなければならないのでしょうか。
M社長の勧めがあったとはいえ、交通事故自体は専らH社員の過失によって発生したものですから、M社長には賠償の義務がないものとも考えられますが、H社員に車を貸すときのH社員の酔いの程度から、交通事故を起こす可能性が予見できるようなときは、M社長はその損害を賠償しなければならない場合もあります。ただし、ここでも公平の観点から相当の過失相殺がなされると考えられます。

これまでのМ社長とH社員の関係を考えると、法廷で争うことは避けるべきでしょう。
お互いの過失と本件に関しての使用者責任を冷静に考えて、H社員に対する援助を考えてみましょう。
もう一人の社員やパート、そしてH社員の職場復帰のことを思えば、自ずと答えが導き出されるのではないでしょうか。

社会保険労務士からのアドバイス(執筆:秋山 直也)

昨今、大企業において様々な不祥事が起こっていますが、これを招いている原因の大部分は経営者のモラルの欠如に他なりません。本件でも、まず問われるのは経営者のモラルの欠如にあります。今回はたまたま酒気帯びがばれなかったようですが、飲酒運転を容認するかのような姿勢は経営者であれ、誰であれ絶対にあってはなりません。
またH社員も社長の提案をすんなりと受け入れ、飲酒後でありながら車で帰宅するなどの行為は、あまりにも軽率な行動だと言えます。飲酒運転という行為が、取り返しのつかない大きな悲劇を招くものであるということを再度認識しておく必要があります。
参考までに、個人差はありますが、アルコールが体内から抜けるのに日本酒1合またはビール大びん1本で約5時間かかると言われています。M社長は誤った認識をしていますが、少し寝ただけでアルコールは簡単に抜けるものではありません。一口でも飲んだら車の運転は絶対しない、また運転をするなら一口も飲まないという心構えが必要です。まわりの人にも、当然“飲酒運転を絶対にさせてはならない”という心構えと強い意志が必要になります。
今回の居眠り運転の原因が飲酒によるものなのか、過労によるものなのか、は分かりませんが、毎日の拘束時間が13時間もあり、休憩は2時間取れるか取れないかというハードな勤務シフトであったことから、過労が原因であったとも考えられます。
そこで小規模飲食店の労務管理についてアドバイスしておきます。

1.労働時間には制限がある
労働基準法では原則として週40時間、1日8時間を超えて労働させてはなりませんが、R社のように常時10人未満の労働者を使用する小規模飲食店については、週44時間までが労働時間の特例措置として認められています。(ただし満18歳に満たない者には適用されません。)
そして、この時間を超えて労働させる必要があるのならば、時間外労働・休日労働協定(いわゆる36協定)の締結が必要となります。

36 協定における限度時間
期間 1 週間 2 週間 4 週間 1 ヶ月 2 ヶ月 3ヶ月 1年間
限度時間 15 時間 27 時間 43 時間 45 時間 81 時間 120 時間 360 時間

*なお、対象期間が3ヶ月を超える1年以内の期間単位の変形労働時間制によって働く者については、上図の表よりも短い限度時間が設けられています

また、H社員の奥様から“無理やり食事会に参加させられている”というお話がありましたが、M社長が従業員をねぎらうために食事会を開催したとしても、その参加がもし強制であるとしたらその時間は労働時間として取り扱う必要があるのかもしれません。
参加が強制でなくとも黙示的な指示、つまり暗黙の了解や圧力など表に出ない無形の力があったと認められるときにも同様に、労働時間として取り扱うことになります。

 

 

2.変形労働時間制の採用
小規模飲食店であっても、1日8時間労働が原則になりますが、飲食店ですと日ごとの業務に著しい繁閑の差が生じることがよくあると思われます。単純な始業・終業時間の一律設定だけでは、忙しくない日でも法定労働時間に至るまで働くことになり、逆に忙しい日には法定労働時間を超えて働かざるを得なくなる、ということになります。
変形労働時間制には、いくつかの種類がありますが、小規模飲食店で採用しやすいのが1週間単位の非定型的変形労働時間制です。

 

1週間単位の非定型的変形労働時間制導入のポイント
【要 件】
(1) 事業が、日ごとの業務に著しい繁閑の差が生ずることが多く、かつ、これを予測した上で就業規則その他これに準ずるものにより各日の労働時間を特定することが困難であると認められる事業であり、しかもその事業は、小売業、旅館、料理店及び飲食店のいずれかに該当するものであること。
(2) その事業の規模が、常時30人未満の労働者を使用するものであること。
(3) 業務の種類、該当労働者数等を定めた労使の書面の協定を所轄労働基準監督署長に届出ること。
以上の要件をすべて満たした場合に、 1 日 8 時間を超え 10 時間まで労働させることができます。

【その他注意点】

(1) 1週間単位の非定型的変形労働時間制を採用する場合、特例措置により 1 週間の法定労働時間が 44 時間とされている事業場においても、 1 週 40 時間以下とすることが前提になっています。
(2) 1 週間の各日の労働時間について、少なくともその 1 週間が始まる前に、書面で各労働者あてに通知しなければなりません。そして、この各日の労働時間を定める場合には、労働者の生活のスケジュール等への影響を考えて、使用者は労働者の意思を尊重するように努めなければならないとされています。なお、緊急でやむを得ない事由がある場合には、あらかじめ通知した時間を、変更しようとする日の前日までに書面により労働者に通知することにより、変更できます。
(3) 満 18 歳未満の年少者や妊産婦が請求した場合には適用できません。

 

 

3. 長時間労働によって会社が負うリスク
飲食店の場合は、休日日数が少なく、また一日の営業時間が長いことから、恒常的に長時間労働になりがちな業種であるといえます。このような状況で最も考えなければならないのが、“過労”の問題です。万が一、過労死・過労自殺が起こった場合は、使用者の安全配慮義務違反による債務不履行責任を問われることになり、会社の賠償額は少ない場合で数千万円、多ければ数億円にものぼります。そうなると、もはや会社として存続できなくなるほどの危機に陥ることも十分考えられます。
なお、過労死の労災認定については、数年前からその認定基準が緩和されています。

(1) 症前1か月間ないし6か月間にわたって、1か月当たりおおむね45時間を超える時間外労働が認められない場合は、業務と発症との関連性が弱いが、おおむね45時間を超えて時間外労働時間が長くなるほど、業務と発症との関連性が徐々に強まると評価できること
(2) 発症前1か月間におおむね100時間又は発症前2か月間ないし6か月間にわたって、1か月当たりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合は、業務との関連性が強いと評価できること

R社の時間外労働も上記の基準を超える水準にありますので、過労死・過労自殺の発生といった極めて高いリスクを負っていることを理解しておく必要があります。
M社長は、長時間労働になればなるほど健康障害や過労死の問題が起こりやすいという事実を認識し、経営者であるM社長自身が従業員の健康障害や過労死の問題を未然に防止する義務があることを知っておかなければなりません。

 
4.創業メンバーであっても労使関係のけじめは必要
小規模飲食店の労務管理についてご説明しましたが、最後に、これまでのM社長に労務管理の意識が欠落していた原因の一つに、M社長と従業員との労使関係のけじめがぼやけていたことも考えられます。従業員が創業からのメンバーであり、気心が知れているからといっても労使関係のけじめは重要です。
今後はM社長には労務管理の責任が自分にあることを自覚し、労働時間の管理や長時間労働の削減など労務管理の改善に真剣に取り組む必要があります。
必要以上に従業員との距離を縮める必要はないと思います。

税理士からのアドバイス(執筆:藤原 高博)

事故を起こしたМ社長の車両とその他、自宅兼事務所といった小規模事業所の税務上の問題についてご説明します。

 

[1]資産性・費用性
会社が購入・支出した財貨(車両、建物等)、用役(人件費、ガソリン代等)を会社の資産・費用として計上することができるのは、当該財貨が資産としての適格性(以下「資産性」という)を有するもの、また、当該用益が費用としての適格性(以下「費用性という」)を有するものでなくてはなりません。ここで資産性とは当該財貨を使用することによって会社の収益(売上等)獲得に貢献出来る能力を有していることを言います。
また、費用性とは当該用役を支出することによって収益獲得に貢献出来る能力を有していることを言います。

 

[2]車両について
1.会計処理
会社の経費(資金)で購入した車両の購入時の会計処理としては車両の使用目的に応じて次のような方法が考えられます。

 

(1) 営業目的(会社業務に関連性を有する場合)
社有車として会社の資産に計上 仕訳:(車両)/(支払勘定)×××
(2) 社長の個人使用目的(会社業務に関連しない場合)
この場合には、次の2方法が考えられます。
 ?社長に対する臨時的給与として処理
?社長に対する貸付金として処理
仕訳:(役員賞与)/(支払勘定)×××
仕訳:(役員貸付金)/(支払勘定)×××
(3) 営業目的兼個人使用目的(一部業務に関連性を有する場合)
?購入時に使用割合が判明しているとき
使用割合に応じて上記(1)(2)の併用処理をします。
例えば、仕訳:(車両)×××(支払勘定)××× (役員賞与)×××(支払勘定)×××
又は、仕訳:(車両)×××(支払勘定)××× (役員貸付金)×××(支払勘定)×××
?購入時に使用割合が判明していないとき 購入時に取り敢えず会社の資産として計上し、使用割合が判明したとき(決算時等)に使用割合に応じて次のように処理します。
仕訳:(役員賞与)/(車両)×××
又は、仕訳:(役員貸付金)/(車両)×××
なお、上記の処理に替えて、決算時に次の方法によることが現実的な処理と言えます。
仕訳:(減価償却費)×××(車両)×××
(役員賞与) ×××(車両)×××
又は、仕訳:(減価償却費)×××(車両)×××
(役員貸付金)×××(車両)×××

 

 

本件では、会社に当該車両につき営業目的使用の認識はなく、車種もセダンというこ とですから、うどん店の経営上、車両の資産性、即ち業務関連性を見いだすことは困難と思われますが、本件における福利厚生目的での使用や同業者団体の会合への出席等 の使用も考えられますので、本件の会計処理としては、上記(3)の営業目的兼個人使 用目的としての処理が妥当であるように思われます。

2.税務上の取り扱い
上記1.で役員賞与として処理した金額は、法人税法上損金として認められません  ので法人税の課税対象になります。また、役員貸付金として処理した金額については   認定利息を計上する事になり、決算時に次の処理をします。
     仕訳:(未収入金)/(雑収入)×××
この場合に適用する貸付利率は、後日のトラブルを避けるためには通常の借入利率 に依ることが賢明です。

 

3]車両に係る経費
1.会計処理
車両に係る経費としては、保険料、税金、ガソリン代等が考えられますが、ここではガソリン代について検討します。ガソリン代についても、会社の経費として計上できるのは費用性が認められなければなりません。従って、本件のように「半分くらいは経費で落とす」といった漠然とした会計処理は認められません。
この場合にも、前記[2]と同様に使用割合に応じて次の処理をします。
仕訳:(ガソリン代)×××(支払勘定)×××
(役員賞与) ×××(支払勘定)×××
又は、仕訳:(ガソリン代)×××(支払勘定)×××
(役員貸付金)×××(支払勘定)×××
2.税務上の取り扱い 前記[2]の役員賞与、役員貸付金と同様の取り扱いとなります。

 

[4]自宅兼事務所
1.会計処理
自宅兼事務所については、(1)所有者名義を会社のものとしておき、自宅部分を社宅として社長に使用させる場合と、(2)名義を社長個人のものとしておき、事務所部分を会社に使用させる場合が考えられます。 いずれの場合も相当の家賃の授受が必要であり、それぞれ次の処理を行います。
(1)の場合 仕訳:(受取勘定)/(受取家賃)×××
(2)の場合 仕訳:(支払家賃)/(支払勘定)×××
(1)の場合には、減価償却費、保険料等建物に係る経費は会社の費用として処理  する事になりますが、(2)の場合には、事務所部分に係る経費のみが会社の費用と  して認められる事になります。

2.税務上の取り扱い
上記1.(1)の場合で相当の金額より高いときは、法人税法上の課税所得には影  響ありませんが、消費税法上相当部分の金額は課税売上、超過部分の金額は受贈取引  として不課税取引となります。
上記1.(2)の場合で、相当の金額より高いときは、その超過部分の金額については、役員に対する経常的な給与として源泉所得税の対象となり、消費税法上の取り扱いでは相当部分の金額は課税仕入、超過部分の金額は給与として不課税取引となります。

 

[5]会社が負担した損害賠償金
H社員の行為が会社の業務の遂行に関連するものであり、故意又は過失によるもの  でない限り、その負担した金額は会社の経費として費用性が認められ、法人税法上も損  金として認められますが、本件の場合は酒気帯び、かつ、居眠り運転による事故であるため、たとえ費用性が認められるとしても、過失によるものとして損金の額に算入することはできません。

社会保険労務士の実務家集団・一般社団法人SRアップ21(理事長 岩城 猪一郎)が行う事業のひとつにSRネットサポートシステムがあります。SRネットは、それぞれの専門家の独立性を尊重しながら、社会保険労務士、弁護士、税理士が協力体制のもと、培った業務ノウハウと経験を駆使して依頼者を強力にサポートする総合コンサルタントグループです。
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SRアップ21高知 会長 岩山 隆  /  本文執筆者 弁護士 横川 英一、社会保険労務士 秋山 直也、税理士 藤原 高博



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