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第28回 (平成16年6月号)

“競業避止義務違反”
退職金を返せ!

SRアップ21千葉(会長:高柳 克之)

相談内容

「これだけ売り上げているのだから、もう少し給与を上げていただけませんか…」「君が頑張っているのはわかるが、他の社員とのつり合いもあるし、賞与はできる限り支給してるつもりだがね…」
P社の社長とN社員が話し合っています。しかし、話は平行線で埒があきません。
ついに、痺れを切らしたN社員が言いました。
「このような待遇では将来が不安ですね。辞めさせていただきます」 社長の慰留も功を奏さず、ついにN社員とは決裂です。
社長は万が一のことを考えて、N社員に“機密保持契約”を書かせようとしましたが、「今さらおかしいですよ、入社時に書かせるものではないですか」とN社員に言われてあきらめてしまいました。
N社員が退職して2?3ヶ月した頃から、徐々にP社の顧客が減少してきました。いろいろと調べてみると、退社したNがP社同様の商売を始めて、P社の顧客に営業をかけているようです。その結果、かなりの顧客がNの会社に流れていました。
P社創業からの社員であったNには、300万円近くの退職金を支払っています。「競業避止義務違反だ!Nを告訴して退職金も取り返してやる」P社の社長は激怒しました。

相談事業所 P社の概要

創業
昭和57年

社員数
社員数28名(パートタイマー6名)

業種
ソフトウエアの制作・販売  

経営者像

業務用各種ソフトウエアの制作・販売を行なうP社は、小規模事業所を対象とした各種ソフトウエアの販売が好調です。ソフトウエアを購入した顧客とは、メンテナンス契約を締結し、パソコンのトラブル相談にも応じていることもその一因のようです。社長は56歳でなかなかの商売上手ですが、自身の営業力はあまりなく、営業はN社員に完全に頼りきっています。


トラブル発生の背景

P社の就業規則には“競業避止義務”に関する記載がありませんでした。それどころか、社員の評価に対するポイントもあいまいで、年功序列的な賃金体系だったため、“仕事ができる社員”の定着に関する対策がとられていませんでした。
これまでも優秀と思われた社員が2?3年で辞めていくことが多かったようです。 本件に関しては、P社の社長が感情的になりすぎたため、Nも正面から対抗してきたことが問題を大きくしてしまいました。
果たして、退職した社員の不法?行為により、一旦支給した退職金を取り返せるのでしょうか、P社の退職金支給規定の内容も曖昧なようです。

経営者の反応

激怒したP社社長の電話に対しNは、「顧客を奪ったなんて人聞きの悪い、普通に営業をした結果として、お客様が選択されたのですよ。あまりひどい事を言うと名誉毀損で訴えますよ。だいたい営業だからといって残業手当も支払わない、一生懸命売上を伸ばしても年一回の昇給、賞与は前年度ベースで支給するような会社で、誰が頑張るものですか…」とやり返されてしまいました。
P社社長は悔しさを感じながらも、怒る元気もなくし、途方にくれて相談先を探し始めました。

  • 弁護士からのアドバイス
  • 社労士からのアドバイス
  • 税理士からのアドバイス

弁護士からのアドバイス(執筆:鈴木 大祐)

業績好調の企業は、人の使い方についても色々と工夫をしているようです。しかし、個々の従業員のやる気を引き出し、全社一丸となるにはなかなか難しく、思うようにいかないのが現実ではないでしょうか。

 

 

1. 役員に支給する給与と従業員に支給する給与の税務上の違い

会社を経営するにあたって人の労務を活用するのは大切なことです。しかし会社との契約関係では、役員は株主総会等をとおして任命される委任に準ずる契約(商法254条3項)であるのに対し、従業員は雇用契約(民法623条)であるという違いがあります。そこで、給与を支払うにあたって、役員であるか従業員であるかにより税務上違いが生じてきます。  
まず、役員(税務上の役員を含む)に対する給与については、自分の給与を自分で決められる立場にあるということで、恣意性の排除のため、事業年度の中途において任意に増減することはできません。これに対し、従業員に対する給与については特に制限がありません。ただし、同族会社の役員の親族等に対する給与・退職金については、恣意性が入る可能性があるということで、世間一般と比べて過大とされた部分は認められないとされています(法人税法36条の2、36条の3)。

 

 

2. P社の問題に対する解決策

P社の問題の発端は、個人別売上に応じて給与を支給して欲しいというN社員に対し、充分な対価を支払わなかったことにあります。もし、N社員の成果に報いる報酬を支給していたならば、N社員の退職に伴う業績の悪化、競業避止義務違反により退職金を取り返すといった問題も生じなかったかもしれません。
現在、日本の産業界はグローバル化の大きな波の中でいかにして売上を上げていくかに四苦八苦しています。そこで、年功序列の日本型経営の良さは残しつつ、いかにして従業員のやる気を引き出し会社の業績を上げる報酬体系を創造するかに知恵を絞っています。その解答の1つが個人の成果を反映した成果主義であり、個人別売上等と連動した報酬制度であります。
P社とN社員とは雇用関係にあり、そして、P社社長とN社員は親族という間柄ではありません。したがって、業績に応じて給与が増減する歩合給にすることは、前記で述べたとおり税務上問題がありません。思うに、これからは個々の従業員のやる気を引き出す報酬体系をつくることが必要になると考えられます。

 

3. P社の今後の留意点

個々の業績に応じて給与を支給する場合、どのような基準で支給額を決めればよいのでしょうか。なぜならば、いくら成果に応じて支給するとしても、客観的な基準がなければ従業員の理解を得ることは難しいからです。
支給の基準には、例えば次のものが考えられます。
 1)個人別売上や利益、
 2)個人別目標の達成度、
 3)個人別職務の重要度、
 4)遅刻欠勤等の勤務態度、
 5)他人との協調性、
 6)自己啓発の進捗度。
以上の点を考慮して、会社規模や実態に見合った基準づくりを心がけましょう。

社会保険労務士からのアドバイス(執筆:水野 正敏)

経営者の方と親しくさせていただくと、雑談の中で「あいつには寝首をかかれた」という体験を1つ2つと聞かされることがあります。このようなとき、「あの時こうすれば良かったのでは…」と簡単にアドバイスをするのではなく、経営者の方がその時に感じた「砂を噛むような悔しさ」に感情移入させてもらい、自らも疑似体験をすることによって、経営者の経営マインド・経営の癖を掴むことが、適切なアドバイスのポイントだと思っています。

それでは、本件P社に対するアドバイスをご紹介しましょう。

 

 

1.人のマネジメントと労働契約

「ヒト、モノ、カネ、情報」という経営資源の中で、特に人のマネジメント(ヒューマン・マネジメント)が二重の意味で重要性を増しています。
まず、ひとつには、人の活用が充分になされなければ企業の利益を継続的に上げることができないという意味です。当り前のことですが、採用から就業管理、退職に至るまでトータルな人事・労務管理をどのように行なうのか、が行なっているのかということです。
人のマネジメント(ヒューマン・マネジメント)の3要素とは、
  1)組織運営
  2)人材フローマネジメント
  3 )報酬マネジメント
といわれております。(高橋 人材マネジメント論参照)
もうひとつが、ヒト以外の経営資源である「モノ、カネ、情報」を活用することですが、そのためには、常に人が介在しなければ何もできないという事実です。

仮に企業にとって充分な「モノ、カネ、情報」があったとしても、その活用を図る人に問題があるとすれば望ましい結果が得られません。
P社の問題は、情報とヒトが交差する中で起きた事件といえます。

また、労働契約(雇用契約)の観点から捉えますと、労働契約の基本的内容は大きく3つから成り立っていると思われます。
ひとつは、労働力の提供と報酬の支払の関係です。
ふたつ目が、組織的労働の関係です。
そして最後に、誠実・配慮の関係があります。

労働契約においては、その人的・継続的な性格に由来する信頼関係が要請されます。 具体的には、当事者双方が相手方の利益に配慮し、誠実に行動することが要請されているのです。(菅野労働法(第五版)P74参照) また、使用者(経営者)においては、安全配慮義務、人員整理に際しての解雇回避努力義務や説明・協議義務などがあげられます。
そして労働者(従業員)については、営業秘密の保持義務、使用者の名誉・信用を毀損しない義務、そして今回の競合避止義務などが肯定されます。

以上により、人のマネジメントと労働契約の観点を要約しますと、
  1)組織運営        ― 組織的労働の関係
  2)報酬マネジメント    ― 労働力の提供と報酬の支払の関係
  3)人材フローマネジメント ― 誠実・配慮の関係 
が、照合していることがおわかりいただけると思います。

 

 

2.退職後の競合避止義務違反に対してとりうる手段

在職中(労働契約の存続中)は、競合行為がなされた場合に就業規則の規定(「会社の利益に反する不都合な行為」など)に従った懲戒処分をすることができます。
また、仮にその旨の規定がなくとも、労働契約における信義則上の義務違反として、一般的に懲戒が認められる可能性はあります。 問題は退職後(労働関係終了後)の競合避止義務ですが、労働者の退職の自由、憲法上の職業選択の自由との関連で単純には扱えません。

一般的には競合避止義務を認めることはできないとされ、就業規則などで明確にそれが定められていることが必要ということです。この件については、弁護士が説明しますが、退職後の競合避止義務違反に対してとりうる手段として、退職金の減額・没収、損害賠償請求、競合行為の差止め請求などが考えられます。

たとえば、同業他社に転職あるいは同業他社を設立した者に対する退職金の減額・没収については、退職金規定にその旨の明確な規定が必要です。また、規定の合理性や退職後の競合制限の必要性や範囲(期間、地域など)、競合行為の態様(どの程度背信的か)などの照らして判断されます。(三晃社事件 最ニ小判昭52.8.9)

次に、退職後の競合行為の差止めは、退職者の職業選択の自由を直接制限する法的措置ですので、期間・活動の範囲などを明確にした競合制限の特約(退職時の競合避止義務を約した確認書)が存在し、かつその制限の必要性と範囲に照らして当該特約が公序良俗に反しない場合に、それを根拠に行なえることになります。(フォセコ・ジャパン事件 奈良地判昭45.10.23 否定例は東京リーガルマインド事件 東京地判決平7.10.6)

これに対して、損害賠償請求は、競合行為が前使用者に重大な損害を与える態様でなされた場合には、特約に基づいて認められます。(東京学習協力会事件 東京地判平2.4.17)または前使用者の営業権を侵害する不法行為としても認められます。(東日本自動車部品事件 東京地判昭51.12.22)

最後に、規定・特約があったとしても、在職中や退職時の退職金等の処遇が不十分であったり、取引先からの受注が退職者の強い個人的信頼関係に基づく場合などには、それらの規定・特約が制限される場合があります。(日本コンベンションサービス事件 大阪地判平8.12.25)更に規定・特約の合理性がない場合には無効になることもあるようです(東京貨物社事件 東京地判平9.1.27)ので注意が必要です。

さまざまな判例に照らし合わせると、P社に対抗要件はあるのでしょうか。「就業規則には、“競合避止義務”に関する記載がないこと」「退職金支給規定の内容も曖昧」「在職中の処遇も必ずしも良くなかったようです」などから判断しますと、いずれの手段も難しいと思われます。

今後の対策については、まず、就業規則の整備が不可欠です。就業規則により、退職後を含めた競合避止義務を規定し、この違反に対しては退職金を支払わないことや、退職後の一定期間内に同業他社への転職あるいは同業他社の設立が判明した場合には、退職金の返還義務があることなどを明確に定めておきます。
場合によっては、特約(退職時の競合避止義務を約した確認書)を結ぶことも考慮する必要があります。

次に、在職中や退職時の退職金等の処遇にも相当な配慮をするべきです。(人のマネジメントの報酬マネジメントにあたります)
そもそも、本件発生の背景は、報酬への不満から始まっています。もう一度その時のやりとりを振り返ってみましょう。
「これだけ売り上げているのだから、もう少し給与を上げていただけませんか…」
「君が頑張っているのはわかるが、他の社員とのつりあいもあるし、賞与はできる限り支給しているつもりだがね…」
話し合い(コミュニケーション)を持つことは何にも増して大事なことです。問題は話し合いの内容です。
後ほど、激怒したP社社長の電話に対し「…だいたい営業だからといって残業手当も支払わない、一生懸命売上を伸ばしても年一回の昇給、賞与は前年度ベースで支給するような会社で、誰が頑張るものですか…」とやり返されています。(人のマネジメントの組織運営にあたります)どうも社長の話には、説得力があまりなかったと言わざるを得ません。

また、取引先との過度の個人的信頼関係の発生を防止すべきです。(人のマネジメントの人材フローマネジメントにあたります)できれば、適当な期間における配置転換等の人事ローテーションをとれれば良いのですが、人材の層が薄い中小企業では難しい面があります。職種の転換ができなければ同じ職種(営業)の中で担当替えをするなり、必要な人材(コア人材)であれば処遇の面で配慮する必要もあります。

「もしもこの社員ががやめたら…」という場合の対応を事前に用意しておくという経営者の冷静な判断と対処方法の事前準備も大切です。

 

税理士からのアドバイス(執筆:石林 正之)

 

1 競業避止義務とは

競業避止義務とは、使用者と競業関係に立つ(同種の営業を行う)企業に就職したり、競業関係に立つ事業を開業したりしない義務をいいます。

 

2 競業避止義務の根拠

支配人や株式会社の取締役等については、法律上、競業避止義務が定められていますが(商法41条、264条等)、本件におけるN氏のような一般労働者については、これを認める明文の規定は存在しません。しかし、こうした一般労働者についても、信義則(民法1条2項)上、雇用契約に付随する義務として競業避止義務が認められるとするのが通説的理解です。

もっとも、こうした競業避止義務を退職後にまで及ぼすことについては、労働者の退職の自由や職業選択の自由との兼ね合いもあり、簡単ではない面があります。

 

3 本件における問題点

退職後における競業避止義務が問題となっている点においては、
・ そもそも退職後における競業避止義務を認め得るか
・ 認め得るとして、どのような要件のもとに認められるか
・ 退職後の競業避止義務が認められる場合、その違反に対して元使用者はどのような対抗手段を取り得るか
・ 競業避止義務が認められない場合、他の法律構成に基づき、何らかの手段を取り得るか
といった点が問題になると思われます。

 

4 競業避止義務を退職後に及ぼすことの是非

一般労働者の競業避止義務が信義則に基づき肯定されるのは、使用者の利益が不当に侵害されるのを防ぐためですが、こうした利益を労働者の退職後も保護する必要性は否定できません。そのため、通説も裁判例も、退職後における競業避止義務を肯定しています。

 

5 退職後に競業避止義務を課すための要件

しかし、退職後における競業避止義務を肯定することは、退職後における労働者の職業活動を大きく制限することにもなります。そのため、退職後における競業避止義務は、
  1)雇庸契約に伴う特約がある場合に、 
  2)合理的な範囲でのみ認められるとするのが通説であり、裁判例の流れもほぼ同様です。

特約の方法は、雇庸契約において定める方法、退職に際して合意を行う方法、就業規則で定める方法及び退職金規程における不支給ないし減額事由とする方法のいずれでも可能ですが、競業避止義務の範囲等を明確にして労働者の不利益を防止する観点から、その内容は明確であることが求められます(東京地判平13・2・23、労働経済判例速報1768号16頁)。また、就業規則で定める場合、これを周知させることも必要となります(大阪高判平10・5・29、判例時報1686号117頁)。

内容の合理性については、労働者の地位、競業を制限する目的、必要性及びその程度、制限される職種・期間・地域、代償措置の有無及びその内容等を総合的に考慮して判断されます(奈良地判昭45・10・23等、別冊ジュリスト労働判例百選第7版184頁等)。
なお、近時の裁判例には、制限の必要最小限度性を要求するなど、特約の合理性を厳格に判断するものもあります(大阪地判平12・6・19、労働判例791号8頁、浦和地判平9・1・27、判例時報1618号115頁)。

 

6 退職後の競業避止義務違反に対して取り得る手段

(1) 損害賠償請求
退職した労働者の競業避止義務違反によって使用者に損害が生じた場合、損害賠償請求を行うことができます。

(2) 退職金の不支給ないし支給済み退職金の返還請求
退職金規程において、競業避止義務違反が不支給または減額事由とされている場合、退職金の全部ないし一部を支給しないことができ、また、既に支給している場合はその返還を求めることができます(最判昭52・8・9、別冊ジュリスト労働判例百選第7版100頁)。しかし、競業避止義務違反の背信性が低い場合、退職金の不支給や返還請求が否定されることもあります(大阪地判平11・1・22、労働経済判例速報1705号24頁、名古屋高判平2・8・31、判例時報1368号130頁)。

(3) 競業行為の差し止め
さらに、退職した労働者による競業行為の差し止めを求めることもできます。しかし、こうした差し止めは、労働者の職業選択ないし営業の自由を直接的に制約する重大なものですので、前記5で説明した要件のほか、競業行為により元使用者の営業上の利益が現に侵害されているか、侵害される具体的なおそれが認められる場合であることが必要となります(東京地決平7・10・16、判例時報1556号83頁)。

 

7 競業避止義務が否定された場合に取り得る措置

(1) 不正競争防止法に基づく措置
退職した労働者が競業避止義務を負わない場合でも、その競業行為が同法2条1項各号が定める不正競争に該当する場合、差止請求(同法3条)、損害賠償(同法4条)及び信用回復措置(同法7条)を求めることができます。

(2) 不法行為に基づく損害賠償請求
また、退職した労働者による競業行為が不正競争に当たらない場合でも、自由競争の範囲を逸脱した不当な方法で元使用者の顧客を奪取するなど、競業の態様が悪質であれば、不法行為が成立する余地があり(東京地判平6・11・25、判例時報1524号62頁)、このような場合には不法行為に基づく損害賠償請求をなし得る。

 

8 本件における結論

P社については、就業規則に競業避止義務に関する記載がなく、退職金規程の内容も曖昧ですので、これらの規定から退職後の競業避止義務を導くことはできないといえます。また、N氏の退職に際し、社長が慌てて「機密保持契約」を締結しようとして拒否されていることからすると、P社とN氏の間には、退職後の競業避止義務に関する個別的な合意はなかったように思われます。そうすると、N氏に退職後の競業避止義務を認めることはできず、退職金の返還請求も含め、同義務の違反を理由とする各種措置を取ることはできないと考えられます。

もっとも、N氏が、ソフトウェア開発やパソコンのメンテナンスに関する営業秘密が記載された資料を無断でP社から持ち出し、それを自らの営業に用いるなど、不正競争に当たる行為を行っていれば、不正競争防止法に基づく各種措置を取ることが可能であり、また、そのような行為がなくとも、N氏がP社から無断で顧客名簿を持ち出して自らの営業を行ったり、虚言や誹謗・中傷によりP社の顧客を奪うなど、自由競争を逸脱する営業を行っていれば、不法行為に基づく損害賠償請求が可能ですので、P社の社長としては、N氏の行為をよく検討し、これらの法的手段を取れるかどうかを検討すべきことになります。

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SRアップ21千葉 会長 高柳 克之  /  本文執筆者 弁護士 鈴木 大祐、社会保険労務士 水野 正敏、税理士 石林 正之



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