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中小企業経営者への法務実務アドバイス(第93回)
「成果主義だといわれても…」
休憩時間は解放してください…
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SRアップ21広島 (執筆担当は文末) |
| ■ 事例概要 |
「今日は海外調査部のHがつかまっているよ…」昼食をとりながら、K社の社員たちが笑っています。自分がつかまったら大変なことですが、“他人の不幸は…”という感じなのでしょう。このK社のN社長は、自分がすべてわかっていないと嫌なタイプですので、聞きたいことや言いたいことがあると、昼夜・休憩・休日にかかわらず、その社員を呼び出し、あるいは電話で何十分も拘束するようなことをやってしまいます。社員の中には、昼食の途中だったり、デートの最中であったり、非常に迷惑な話ですが、「社長は忙しいから…」「悪気はないよね…」「社長と話す機会があった…」などと、N社長をカリスマ的にみているわけではないでしょうが、K社には社風として自分を納得させるような雰囲気がありました。そんなK社にヘッドハンティングされたDが入社しました。D社員は、K社の自動車メーカー担当の営業職としての採用でしたが、前職では労働組合の執行部に属していたこともあり、K社の社風にとまどうことばかりでした。「休憩時間は、最低限の労働者の権利だよ、みんなどうして文句言わないのかな…」と同僚に話しても「社長から呼ばれたら仕方ないよ、休憩は後でとれるしね」という簡単な返事で会話になりません。
ある日のこと、食事中のD社員の携帯電話が鳴りました。ディスプレイには“N社長”の表示が出ています。「あっ、社長だ、まっいいか、食事の途中だし…」と電話に出ないでいると、周りの社員達の方が落ち着きません。「早く折り返した方がいいよ」「あっ、またかかってきた、早くでなよ」という声を無視して、D社員は黙々と食事を続けました。「休憩時間中は、きちんと休憩するのが僕らの義務だよ」とあっけらかんとしたD社員に、みな驚くばかりでした。 |
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| ■ K社の概要 |
創 業 平成3年 本社 広島市
社員数 61名 契約社員5名 パートタイマー35名
業 種 市場調査・販売促進代理業
経営者像 K社のN社長は54歳、バイタリティあふれるN社長は、自ら仕事人間を自負し、休憩や休日を気にせずに社員たちに声をかけるという、いささか困った存在です。社員の中には不満を口にする者もいますが、といって辞める勇気もないような社員が多いK社です。 |
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| ■ 事故発生の背景 |
| 休憩時間の解釈は、業種・業態、また経営者の考え方によってまちまちなのが実情です。単に「仕事をしていないから」という視点だけで考えている経営者もかなりいるようです。食事をしながらの電話当番や客待ちなのにタバコを吸っているからと休憩扱いにしていないでしょうか。法律的な休憩の定義をしっかりと認識し、労務管理を行うことが必要な時代です。 |
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| ■ 経営者の反応 |
| 「私が連絡しているのに、なぜ電話に出ないのだ!」会社に戻ったD社員をつかまえて、N社長が怒鳴っています。「この会社が成果主義で、上司の指示は絶対、ということは理解しています。ですから時間外や休日勤務についてとやかく言うつもりはありません。しかし、休憩時間は唯一仕事から解放される時間です。この時間まで振り回されたくありませんし、食事くらいはゆっくりとらせてもらいたいと思います」D社員も負けていません。他の社員たちも固唾を呑んで見守っています。「しかしね、私は忙しいのだ、私には休憩時間などない、私のために休憩が阻害されるというのなら、終わった後で休憩すればよいではないか、君のように柔軟性のない考え方をする者はわが社には必要ない…」ついにN社長は怒り心頭に達し、社長室に戻りました。「いくら給与がよくても、こんなワンマンな会社にはいられないな、まぁ解雇されたことだし今日は帰るか…」D社員は私物をまとめると、K社を後にしました。数日後、D社員の訴えを受けて、不当解雇の撤回、慰謝料の支払”を求めるあっせん開始通知書がN社長宛に届きました。「こんなことは創業以来始めてだ…」あわてたN社長は相談先を探し始めました。 |
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