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中小企業経営者への法務実務アドバイス(第8回)

〜業務委託契約者(事業者)が
在宅勤務者(雇用関係)であると主張!〜


事例概要
社会保険労務士からのアドバイス 税理士からのアドバイス
弁護士からのアドバイス ファイナンシャルプランナーからのアドバイス


ファイナンシャルプランナーからのアドバイス
業務委託契約者に関する企業のリスク管理から言えば、労務管理における危機管理意識が根本的に欠如していることから起きてしまった事例といえます。

まず、契約締結の際に注意すべきは次の3点です。
(1) 業務委託契約であり「労働者ではない」ことを明確にする。
(2) 労働者ではないので、業務上ケガをしても労災保険は使えないことを明確にする。
(3) 1人親方として、必ず労災保険へ特別加入させる。(業種により制限があり、今回のケースでは特別加入できない)

また、日常業務においては、次の2点を守ることが必要となります。
(1) 出退勤の管理はしない。
(2) 具体的な業務の指示はしない。


さて、リスクは多種多様な形で日常業務の中に潜んでおり、企業の理念や目標を実現するためには、このようなリスクによる損失に対して経済的な側面から支援する必要があります。
その一つが保険の活用です。常に先を読みながらそれに対する必要なコストを支払うことで、リスクを回避したり被害を軽減したりすることができます。 正社員に対しては、様々な形で生命保険や傷害保険を利用して、もしもの時に備えていることが多いようですが、大抵の場合、記名式になっていることが多く、正社員以外の人、つまりパート・アルバイトなどへの対応が十分ではありません。
J社のように、本来業務委託のつもりが事情によって労働者と認定された場合でも対応できるようにするためには、無記名式の保険を選ばれるとよいでしょう。

ところで、病院から言われたという「業務中なので国民健康保険は使えない」は本当でしょうか?
確かに労働者が業務上ケガをしても健康保険は使えませんので、労災保険を使うことになります。
一方、経営者が業務上ケガをしたら労災保険も健康保険も使えませんが、経営者が国民健康保険に加入しているのであれば、業務上のケガであっても国民健康保険を使うことができます。

すなわち、国民健康保険は、国民の最後の受け皿として業務上外を問いません。この事例においては、被災者が国民健康保険の被保険者であるようなので保険を使えると考えてよいと思われます。とすれば、社長はもっと上手に被災者と対応することができたはずです。

労災保険の適用の可否につての検討は他に譲るとして、ここでは労災保険の上乗せ給付とも言える「労働災害総合保険」について言及しておきます。
今回の事例は幸い死亡事故ではありませんが、ご存知のとおり、労災保険の死亡保障は1000万円程度なので、保障としては十分とは言いがたく、遺族との補償に関し、話し合いがこじれる場合が少なくありません。
この保険は、労災保険が適用された場合、つまり労災認定された場合のみ効力があります。 また、無記名式であること、割安な保険料で大型保障であることが特徴です。無記名式なので、正社員以外のパートやアルバイトの人も適用されますし、さらに保険料を安くしたいなら、通勤災害部分や休業補償部分をはずすこともできます。

「労働災害総合保険」を活用するということは、事業主にとっては、福利厚生の充実という側面から捉えることができますが、事業主責任が問われる場合である業務上災害について最低限の対策を講じておくという、企業防衛上必要とされるリスク管理の一つであるとも言えるでしょう。



社会保険労務士の実務家集団・全国SRアップ21(理事長 岩城 猪一郎)が行う事業のひとつにSRネットサポートシステムがあります。
SRネットは、それぞれの専門家の独立性を尊重しながら、社会保険労務士、弁護士、税理士、ファイナンシャルプランナーが協力体制のもと培った業務ノウハウと経験を駆使して依頼者を強力にサポートする総合コンサルタントグループです。
SRネットは、現在29都道府県に支部を有し、これからの全国展開に向けて活動中です。
SRネット熊本  会長 元田 克秋
本文執筆者 社会保険労務士 : 元田 克秋
弁護士 : 高野 正晴
税理士 : 後藤 みどり
FP : 奥村 栄治

(全国中小企業団体中央会/「中小企業と組合」 掲載)
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