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中小企業経営者への法務実務アドバイス(第69回)
〜「勝手に親に請求するな!」
社員の不始末を身元保証人が全額弁済!!〜
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SRアップ21広島 (執筆担当は文末) |
| ■ 事例概要 |
「この四半期はかなり利益が上がった。今後も頑張ってくれ…」とK社長の訓示が始まりました。しかし、不思議なことに社員たちはニコニコしています。というのも、長い話が終わった後には、“社長賞”の支給が待っているからでした。K社長は、会社に貢献した者、会社に損失を与えた者、それぞれにきちんと対応する性格の持ち主です。前者だけならば、これほど良い会社はないのですが、ついに大事件が発生してしまいました。
「なにぃ!150万円盗まれただと!」K社長の前で営業部長とH社員が小さくなっています。実はH社員のミスで、ある国のブローカーに手付金を持ち逃げされたのでした。「お前らはバカか…この商売で…しかも外国人に手付金など支払うものか…」と怒鳴り散らします。「私は注意しろ…と言ったのですが…」と言い訳する営業部長をさえぎるように「もういい、とにかく不始末は自分で弁償しろ、いくら誤っても金は返ってこない…」と言うと社長室に戻りました。
さて2日後、H社員の始末書は提出されましたが、150万円を弁償する!という気配が一向にありません。K社長はついに痺れをきらし、「Hの身元保証人の電話番号をもってこい」と総務部長に言いつけました。
それから3日後、H社員が血相を変えて社長室に飛び込んでいきました。「勝手に人の親に電話して、150万円振り込ませるとはどういうことだ!」しかし、K社長も負けてはいません。「おい、誰かHの身元保証書をもってこい、ちゃんと“弁償します”と書いてあるだろう」と二人の言い合いが続いています。最後はH社員が「こんな会社辞めてやる。150万円も取り戻すからな」と捨て台詞をはいて社長室のドアを蹴りながら出て行きました。 |
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| ■ E社の概要 |
創 業: 昭和58年 本社 広島市
社員数: 35名(パートタイマー 12名)
業 種: 雑貨等の輸入販売
経営者像:海外から珍しい雑貨等を仕入れ、国内の小売店に商品を卸売りするE社のK社長は64歳、幅広い人脈でさまざまなルートから商品を仕入れています。信賞必罰がS社長のモットーでした。 |
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| ■ 事故発生の背景 |
H社員の過失がどの程度のものかがはっきりしませんが、業務上の過失に対する責めを100%社員に請求できるものでしょうか。
H社員に無断で身元保証人に賠償させることも行き過ぎのようです。また、身元保証人がすべての責を負うものではありません。身元保証の限界についても、しっかりと学習する必要がありそうです。 |
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| ■ 経営者の反応 |
| 「損失は回収したし、できの悪い社員は辞めたし、結果よければ…という感じかな」とK社長が専務に笑いかけています。「社長、いくらなんでもかなり強引過ぎますよ、他の社員のことも考えてください。たまたまHの父親は金持ちですけど、今回のようなことが他の者にも通用すると思わないでくださいよ。」と専務がたしなめます。「しかし、それでは何のために身元保証人がいるのだ。今回のように社員が責任取れないから必要なんだろうが…」と聞く耳をもちません。専務は理論派で人事畑出身ですので、今回のことが大きな問題になるような気がして仕方ありません。「わかりました社長、しかし、今回の処置は専門家に検証してもらいましょう。他の社員への説明もあるし、Hがどのような行動に出るかもわかりませんし…」というと、「まぁいいだろう」とK社長もしぶしぶ承諾しました。 |
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