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中小企業経営者への法務実務アドバイス(第3回)
〜事例から見る労働災害問題を探る〜
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SRアップ21大阪 (執筆担当は文末) |
■私有車両を業務上で使用していた社員が事故を起こした
昨今の不景気から、さまざまな会社で社有車両の減車が進んでいます。その結果として、リース車・社員所有車両の業務上借り上げなどが多くなっているようです。
会社からすると固定経費の削減と事故の減少、車両の愛護といった点で効果をあげています。
しかし、私有車両(自家用車両および自家用オートバイ〈以下、マイカー等〉といいます)を利用する場合には、直接・間接のリスクを考慮する必要があります。
今回の事例のように、私有車両が業務上で事故を起こした場合には、会社の責任が発生します。
私有車両は業務に持ち込まないことが一番ですが、やむを得ない場合には、本事例をご参考いただき、日頃の危機管理を徹底されることをお勧めします。
今回は、SRネット【social resources network】大阪が、専門的な解説を含めて問題解決の手順をご紹介いたします。 |
| ■ 事例概要 |
F社は郊外に日用雑貨のディスカウントショップを2店舗経営しています。 交通の便が悪いこと、駐車場が広いことなどの理由から、社員もアルバイトも自家用車やオーバイを利用して通勤していました。
また、F社の営業車が3台しかないことから、業務上の買い物やお得意様への配達にも社員所有の車両が使用されていました。
ある日、社員Tが商品仕入先の問屋で商談を終え、帰社途中に交通事故を起こしました。相手方は、ベンツを運転していた会社役員の妻です。高校生の娘が同乗していました。急ブレーキの衝撃で運転者の奥様はむち打ち、高校生の娘は右足を骨折しました。ベンツの前部はかなり傷つき、ヘッドライトが割れています。
社員Tのオートバイは、自賠責保険のみで、任意保険には加入していません。
社員Tは、事故の翌日から欠勤しています。会社においてあった私物も整理されています。
事故の翌日、被害者の夫が会社に怒鳴り込んできましたが、社長は「保険会社に任せてあるし、事故を起こした社員がいないから…」と素気ない態度で追い返しました。 |
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| ■ F社の概要 |
創 業: 昭和61年 本社大阪市、店舗 淀川区、南区
社 員 数: 本支店合計68名(正社員10名、パート・アルバイト58名)
業 種: ディスカウントショップ
経営者像:46歳、自己中心的・まわりを気にしないタイプ |
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| ■ 事故発生の背景 |
F社の日頃の労務管理はひどいものでした。就業規則もありませんし、車両管理規定もありません。人事・労務管理上の諸届すらなく、遅刻も欠勤もすべて口頭確認、唯一あるのはタイムカードだけでした。
F社の社長は、細かいことにとらわれず、社員やアルバイトが毎日出勤して、自分の思い通りに日々の作業を進めることで満足していました。
「就業規則があるとかえって人を使いづらくなる」というのが社長の持論です。
「何かあったら、自分がすべて決める、これまでも何もなかった」 社長が言うように、これまで何の問題もなかったことが、ますます放任主義を増長させていたようです。 |
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| ■ 経営者の反応 |
被害者の夫が弁護士と共に再び会社にやってきたことから、F社社長も不安になり、友人を通じてSRネット大阪のメンバーである弁護士に相談依頼をしました。
弁護士は問題を整理して、F社の将来のことを視野に入れながら、ネットワークで処理することにしました。
さっそくSRネット大阪のメンバーが集合し、今回のF社事件の解決と今後の指導について意見を交換しました。そして次のような役割分担を決めました。
弁護士は、早急に示談を勧める必要があることから、あらかじめ社会保険労務士と連携をとり、必要な情報を整理しておきました。
F社社長の性格から、今後の対策等については社会保険労務士が中心となることが理想的だと考えたからです。 |
| 社会保険労務士 |
社有、私有車両管理手順の説明、社内諸制度の構築サポート |
| 弁護士 |
F社社長の経営責任などの教育と相手方との示談交渉 |
| 税理士 |
私有車両の業務上使用に関する経費、手当等税務上の処理、通勤経費の算定等 |
| F P |
私有車両保険の整備 |
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