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中小企業経営者への法務実務アドバイス(第1回)

〜事例から見る労働災害問題を探る〜


SRアップ21北海道 (執筆担当は文末) 


いったん事故や災害が起きると、被災者はもとより、使用者、家族などを中心に深刻な補償問題が発生します。被災者やその家族の生活は不安定になり、使用者にとっては各種保険手続、見舞金、民事賠償の問題が発生することが予想され、これまでは考えられなかったような新しい形の問題が提起されるようになってきました。これも社会の高度化や複雑化、そしてさまざまな組織体の中で、人間関係が希薄になり、その結果、国民の権利意識が向上した影響なのかもしれません。
このような状況にあって、相談を受け持つわれわれ士業側に求められるものは、複雑な人事雇用管理手法とその実態を把握することは当然として、さまざま専門知識の結集なのではないかと考えています。  
SRネット【social resources network】が、専門的な解説を含めて問題解決の手順をご紹介いたしますので、本掲載が読者の皆様の危機管理情報として役立てていだければ幸いです。
社会保険労務士からのアドバイス 税理士からのアドバイス
弁護士からのアドバイス ファイナンシャルプランナーからのアドバイス


事例概要
X社のA社員の運転する車で、商品を本店から支店に配達中に交通事故(正面衝突)が発生。運転手A社員は死亡し、助手席にいたアルバイトのB社員は右足を切断するという重傷を負った。
また、事故の相手車の運転手Cは死亡した。この事故の目撃者はいなかったが、X社社長がB社員に事故状況を確認したところ、A社員が運転を誤って対向車線上にはみ出し、Cの運転する車と衝突したものだと判明した。

X社の概要
創 業: 昭和36年  本社○○市、支店××市外5支店  
社員数: 本支店合計95名(正社員27名、パート・アルバイト68名) 
業 種: 海産物の製造加工販売業  
経営者像:73歳、俗に言うワンマン社長
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事故発生の背景
X社は、老舗の海産物問屋として地域で売上げを伸ばしてきた会社です。しかし、ここ3,4年は折からの不況により、業績ダウンを余儀なくされ、その反動が社員に対する厳しい目となっているような会社です。
最近では、正社員の人員が従来の2割ほど削減され、現在はパート・アルバイト雇用者が全体の7割を占めているような状態でした。  
社長は良くも悪くもワンマン体制の指揮をとることが多く、社員の評価にも自分の好き嫌いがはっきりと現れたり、思い通りにならない社員に大声で怒鳴り声を上げたり、反面、社員の慶弔時には進んで面倒をみるようなタイプです。社員の評判が良いというよりは、どちらかというとあまり芳しくない感じのようです。  
年末の納品に追われていたある日、事故が発生しました。X社の車両は10台あり、日頃から交通安全の注意を喚起していたようですが、暮れの繁忙期で急を要する配達の際の事故でした。  
A社員は45歳で妻と高校生、中学生の二人の男の子がいました。
また重傷のB社員は先月から助手として雇用された23歳の独身者です。やっと仕事に慣れた頃に事故にあってしまったのです。  
相手車両のCさんは、配達途中の会社員でした。事故は郊外の道路で発生したため、目撃者がいない状況です。

経営者の反応
会社創業以来の初めての交通死亡事故でした。
被害者であるCさんの遺族に対して最善の償いをしなければなりません。また、A社員の遺族に対する補償、B社員に対する補償もあります。  
当初、社長は自賠責保険や車両任意保険、また労働者災害補償保険や厚生年金保険などからの社会保障もあり、誠意を持って対応すれば、事故原因が確定した段階で速やかな解決が図られると考えていました。
しかし、経営者仲間の話などから、最近は使用者が様々な責任を問われ、場合によっては高額な賠償金を支払わなければならないと聞き、徐々に不安が募ってきたようです。
確かに、使用者に対する高額な支払判決や和解例が多くなってきており、中小企業では倒産に追い込まれることさえあります。  
そんなX社の社長からSRネットに"SOS"が入ったのは、事故発生から4日後でした。メンバー全員が同席し、X社の社長、総務部長から事件の詳細を聞き取り、簡単な事務処理をそれぞれがシミュレーションし、併せて、今後の両家ご遺族、B君に対する対応について説明しました。X社にとって最悪のシナリオとなる危険性が非常に高いことから、ことは慎重を要します。
今後は、それぞれのメンバーが、日程を調整しながら事後処理に取り掛かかることになり、必要に応じて今後の対策も立案することとしました。
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