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中小企業経営者への法務実務アドバイス(第119回)
「退職した者に永年勤続報奨金は支払いません…」?!
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SRネット山形 (執筆担当は文末) |
| ■ 事例概要 |
55歳のW社員は、まもなく勤続30年になろうとしています。根はまじめなのですが、酒好きが高じてたまに大失敗をすることがありました。これまでは、笑い話の域を越えることがありませんでしたが、ある日のこと、仕事帰りに酒を飲んだW社員が飲酒運転で警察に拘留されるという事態が発生してしまいました。幸いに人身事故には至らなかったものの、地元の新聞には壊れたポストの写真と実名が公表され、会社の人間がマスコミからインタビューされるという始末となりました。R社では直ちに懲罰委員会を開催し、W社員の懲戒解雇が即決され、W社員は、退職金を支給されることなくR社を追われました。
それから6ヶ月ほど経過した頃、W元社員から電話がかかってきました。要約すると、自分の不始末なので解雇も退職金不支給も納得している。しかし、30年勤続報奨金の30万円についてはもらう権利がある、というものでした。
確かにR社には、勤続報奨金の規定があり、今年もつい先月に贈呈式を終了したばかりでした。電話の応対をした総務部長は、「在職しているからこその報奨金だ、退職した者が請求する筋合いはない」と突っぱねましたが、W元社員は、「飲酒運転の件は、結果的に酒気帯びで罰金刑だから、懲戒解雇は重すぎるし、30年勤めて退職金なし、についてもひどいと思っていますよ、実際に30年勤めたのだから、その祝い金くらいもらってもよいでしょう…」とあくまでも強気です。押し問答が続きましたが、どうしても支払わないなら、解雇撤回と退職金の支払いを求めて裁判を起こす、というW元社員に「社長と相談するから、少し時間をくれ」というのがやっとでした。さっそく総務部長がT社長に相談すると、一喝の下に無能呼ばわりされ、聞く耳さえ持たない、という態度でとても話にはなりませんでした。 |
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| ■ R社の概要 |
創 業 昭和40年 本社 山形市
社員数 31名 パートタイマー6名
業 種 空調設備工事業
経営者像 R社のT社長は67歳、先代の後を継ぎ、R社をまずまず発展させてきました。時代の波に流されることなく、年功主義を継続した成果として、R社は社員の定着がよく、「自己都合」で退職した社員は、この40年で10名足らずです。 |
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| ■ 事例発生の背景 |
賃金ではない慶弔見舞金、勤続報奨金などについて、その金額の規定はあるものの、支給要領については定めていないケースが中小企業には散見されます。
相手に強く出られると、何が正しくて何が悪いのか、わからなくなってしまうような頼りない管理職も存在しますが、総務部長の初期対応はどうだったのでしょうか。 |
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| ■ 経営者の反応 |
| 「お前は何をやっているのだ!」T社長は総務部長への苛立ちをますます高めています。周りの役員立ちもT社長に同調し、総務部長をなじるばかりです。総務部長はついに逆切れし「私は断固彼の要求を突っぱねましたが、不当解雇で訴えられることを考えると、いくら会社が正しくても、報奨金支払って済むのなら、その方が安いと考えたのです、どなたか妙案があったら教えてください!」とT社長や役員達を見渡しました。総務部長の剣幕にさすがのT社長も冷静を取り戻し「確かに部長の言うことにも一理ある」と豹変しました。「しかし社長、退職した者に勤続報奨金を支払う前例となりますが、よろしいのでしょうか」とある役員。「これからは報奨金をなくせばよいのだ」とある役員。まとまりがつかなくなった会議に総務部長が苛立ち「社内では結論が出そうにありません、相談先を探しましょう」と言うと、「総務部長の言う通りだ、今後のこともあるので優秀な専門家に解決策を伝授いただこう」とT社長が締めくくりました。 |
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