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中小企業経営者への法務実務アドバイス(第109回)

パート労働法対応 「正社員ですか…辞退します」 「なにぃ!!」


SRネット大阪 (執筆担当は文末) 


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事例概要
K社に勤務して2年になるアルバイトのEは26歳のフリーターです。人当たりがよく、何でも器用にこなすEは、K社長からも店長達からも重宝がられ、所属する店舗はもとより、他店舗へのヘルプも十分にこなしています。
K社の幹部会議では、パートタイム労働法施行後に、アルバイトのEを社員に登用しようと決定し、Eに辞令を渡そうとしましたが、「まだ、早いですよ、もう少し修行しないといけませんし、趣味の登山もありますから…」とやんわりと断られていました。そのときは、「本人が辞退するだから、法違反じゃないな」と笑っていましたが、○店の副店長が退職して田舎に帰ることになったため、再び副店長候補としてEの社員登用案が浮上しました。J社長も同感でしたので、次の日にEを呼び出して話をすると、思いがけない言葉を聞くことになってしまいました。Eの話を要約すると、「アルバイトは働いた分だけ時間給でお金がもらえるが、社員になると責任だけ増して、残業手当がもらえない、社員達が必死に努力しているのを見てすごいとは思うが、自分が同じようにできるとは思わない、自分の性格からして、時間=賃金の方が向いている」というものでした。「わが社の社員になっても、夢も希望もない、ということか?」とJ社長が問うと、「はい、そうです」と素直に言ってのけたEでした。期待をかけていただけに、J社長はがっかりしましたが、時が経つにつれ段々腹が立ってきました。「なんだあいつは!先輩達は“バカだ”といっているようなものだ」J社長は、緊急幹部会議を招集しました。
「Eを解雇しよう…」とJ社長の言葉で始まった幹部会議でしたが、この事件をきっかけに幹部達の鬱憤が噴出してしまうこととなったK社でした。

K社の概要
創 業   平成2年 本社 大阪市 
社員数   6名 アルバイト・パートタイマー 46名 
業 種   飲食店【就業規則未制定】
経営者像  3件の焼鳥屋を経営するK社のJ社長は63歳、こだわりの鶏肉を使用した焼き鳥は、すでに地元では大評判で、遠方からの来店者も多くなってきました。J社長は、見込みがありそうなアルバイトを社員に登用しては、店長などの幹部職を任せています。
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事故発生の背景
飲食店には、1日10時間以上働くアルバイトが結構いるものです。給与を比べてみると、店長と大差ない場合もあります。Eは普段から社員達の“ぐち”を聞いていた可能性がありそうです。
K社の社員達は拘束時間が長いため、固定残業制かつ全員管理職ということになっていました。このあたりの処遇にも問題がありそうです。

経営者の反応
幹部達がEの解雇に賛同すると思っていたJ社長は、中堅のT社員が「良い機会ですので、われわれの要望も聞いてください…」と切り出したことから始まった思いもかけない不平不満の嵐に巻き込まれることになってしまいました。「社長は社員にすると安心してしまって、われわれの評価や昇給について真剣に考えてくれない」「自分の給与以上に稼いでいるフリーターがいる」「このまま歳をとることを考えると不安だ」「休日出勤手当くらい出してほしい」最後に古株の社員が「われわれが満足して仕事していないと、アルバイトに社員になれ、とは言えないですよ」というと、時間のこともあり、その日の幹部会議は終了となりました。
打ちのめされたJ社長は、自宅で酒を飲みながらしみじみと考えていました。幹部社員たちの処遇はこれから考えるにしても、Eの言葉(K社の社員になっても、夢も希望もない)がどうしても許せず、Eの携帯電話に連絡して、解雇を通知しました。「俺と社員達を愚弄した罰だ」 次の日、多少の後ろめたさが残ったEへの解雇通知が問題ないかどうか、また今後の社員の処遇について相談先を探すべく、インターネットで検索を始めたJ社長でした。
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